植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

ブラック企業を生み出すのは、お客である僕らかも

「奴隷をつくるものは、自分もまた何かの奴隷である。」

これは、スターウォーズ クローンウォーズに出て来る
ジェダイの格言の一つです。

最近、ブラック企業なるものが話題になります。
中には、それでブラック呼ばわりされるの?と
首を傾げるようなものもありますが、
たしかに、あまりにもひどい労働環境のケースもあります。

ブラック企業と言えば、某大手居酒屋チェーン店が有名です。
あそこはだめだ、というのは簡単ですが、
なぜ、そんなにひどい労働条件なにかを考えるのも大事だと思います。

最近、大手の居酒屋チェーンほど、驚くほどに安価です。
それで採算あうの?と心配になるほど安いです。
そこは繁盛しています。とても混雑しています。
そこでは、みな、必死にいそがしそうに働いています。
でも、手が回らないから、お客さんが怒ります。
ますます、働いている人の表情が暗くなります。

安いサービスを提供するのは簡単です。
原材料を安く買い、
人を安く働かせるのが一番です。
人を安く働かせるので一番簡単なのは人数を減らすことです。
でも、人は急病もあります、不確定要素です。
それを吸収できるバッファーがないと、
欠員が出たときに、仕事が遂行できなくなります。

原材料を安く買うのは、
売ってくれる相手を買い叩くか、安いところから買うのが一番です
中には、不正なことをして食材を安価にしていたために、食中毒を発生させてしまったケースもありました。
(僕はユッケは高級食品だと思ってましたが、400円程度で食べれるようになっていたのに驚きました。)

安いサービスを提供するためには、
買い叩かれる人もいます。過剰にきつい労働をさせられる人もいます。

では、なぜ安く提供しなければいけないのか?
それは、安さだけしか見ないお客が多いからです。
お店ががんばってよりよくしても、
「そんなことしないで、よそと同じでいいから、安くしてよ。」と言われると、よりよくする努力が無になります。

僕は、てっぺんという居酒屋さんを知っています。
また、居酒屋甲子園というものも知っています。
そこに参加する居酒屋さんは、すごいです。
食材にもすごく気をつけているし、
働いている人のプロ意識もすごいです。
たしかに、大手居酒屋チェーンと比べれば、
値段は高いです。でも、その価値はあります。
と、僕は思うのですが、
世の中には、「いや、安い方がいい」という人もいます。

「安さ」だけしか求めないお客のせいで、
「安さ」だけしか追求しないお店が生まれ、
そのお店は、働く人の労働に対しても「安さ」しか
求めません。

だから、ブラック居酒屋を生み出しているのは、
実はお客かもしれません。

自分が奴隷的に扱われている。と感じることがあるなら、
自分はだれかを奴隷的に扱っていないか、を考えるべきかも。

仕事のストレスを、居酒屋さんの店員さんに怒鳴ることで解消している人は、自分もまた、自分の上司やお客から怒鳴られて、ストレスになってるのかもしれません。

この悪循環を断ち切るためには、
自分が防波堤になるしかないです。

自分がされていやなことを、他人にしない。

これを自分の行動に当てはめて考えたらいいです。

人を、うらんだり、呪ったりしたら、
きっと、自分も誰かにうらまれ、呪われます。
誰かを嫌えば、自分も誰かに嫌われます。
だませば、だまされます。
盗めば、盗まれます。

その連鎖を食い止めるのは、自分です。

もしかしたら、
劣悪な労働環境を減らすためには、
安さよりも質を評価できる人を増やす方が
効果的かもしれません。

そういう意味でも、
テレビのレポート番組で、
ただ単に価格が安いお店だけを取り上げるようなことは
やめてほしいなあ、と思います。
(やるならば、なぜその価格で提供できるのかを、精神論ではなく、採算ベースで踏み込んで報道してほしいです。)