植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

「なんとなく進学型進路指導」は過疎化の元。

学力向上。

ちゃんと勉強しないと、
いい学校に行けなくて、
いい会社に入れなくて、
大変だよ。

どこの学校でも、学力向上に力が入ります。
そして、進学を薦めます。

で、その結果何がおきるかって、
間違いなく、過疎化が進み、大都市への人口集中になります。

だって、学校の言うところの、いい学校や、いい会社が、地方にないんだもん。

子どもが1人、地方の街から出て、都会の大学に行ったら、
その街からは、外貨が約1000万円流出します。
(専門学校だと、500万円くらいかな。)

人口1万2千人の赤平市では、1学年の子どもが約120人くらいです。
その中で、高校卒業後に、地元に残るのは、
10%〜20%くらいかな。
ほとんどは、赤平から流出します。
そして、たいてい帰ってきません。

なんとなく専門学校。
なんとなく大学。
とりあえず進学しておけば、人生の選択肢が広がる、という
なんとなくの進路指導の結果、
赤平市からは、毎年100人ほどの子どもがいなくなり、
それとともに、5億円ほどの外貨が流出します。
しかも、向学心のある、成績の良い人ほどいなくなります。

今では、街の企業のほとんどは、
赤平市では求人をだしません。
よい人材が欲しければ、札幌や旭川で求人を出さないといけない。という状態になっています。
地元の高校も無くなることが決定しているしね。

確かに、都会に行けば、給料は赤平より高いでしょう。
でも、家賃も、駐車場代も、食費も、
下手すると赤平の二倍です。
食えるか食えないかの判断は、給料総額で比較するのではなく、
収入と支出のバランスでするはずです。

確かに、札幌に行けば、教育環境は赤平よりも良くて、
子ども達は高い学力を得られます。
でも、その結果、札幌の子達は、東京などに出て行きます。

いま、北海道では、人材が足りません。
その原因には、全国学力に重きを置きすぎた、
なんとなく進学進路指導が、強く影響していると考えられます。
本当は、大学に行かなくてもいい子が、
なんとなく大学に行き、赤平からはお金が流出します。
そして、札幌で仕事に就けないで引きこもるケースが
増えているのです。(もちろん、親の仕送りは永遠に続く。)

地方の活力向上!を真剣に考えるのならば、
なんとなく進学型進路指導から脱却する必要があります。

子どもの幸せのためですから、と言われ、
保障されない子どもの幸せのために、
子どもに勉強を詰め込み、
必死でお金を払い続ける保護者達は、
まるで、霊感商法を信じる被害者のようです。

なんとなく進学型進路指導からの脱却のためには、
人の幸せとはなんなのか、をあらためて真剣に考える必要が
あると思います。

その幸せとは、
生涯賃金の総額ではないはずです。
年金でも、退職金でもないはずです。
果たして、いい会社というものが、本当にいい会社なのか?
うつ病製造工場などと言われる某大企業や、
自殺率がとても高い公的な仕事とか。
それでも、給料や退職金の方が大事なのかな?
我が子を失ってからでは遅いのに。

なんで子ども達を街から出してしまうのかな?
もしかしたら、いま、この街で嫌々働いている保護者が、
子ども達に、この街から出ることをすすめるのかも・・・。
この街での、自分の仕事を継がせたくない保護者も、
子ども達に、この街から出ることをすすめるのかも・・・。
(もちろん、修行として、街から出ることは大切ですというか、必須のように思いますけどね。)

僕は、この街が好きです。
今の自分の仕事も好きです。
というか、好きになるように改良し工夫します。
嫌なこともあるけど、嫌々仕事したくないから、
嫌なことは改善します。

今の自分の環境を嫌がり、
なんとなく、見たことも無い、ここじゃない都会への
漠然としたあこがれがあるかぎり、
地方からの人材流出は止まらない気がします。

僕は、人口密度が高いところが苦手です。
思いやりの無い、人を押しのけて歩かないといけないような
人ごみがきらいです。
いまや、何でもネットで買えるようになったから、
都会に買い物に行く必要も感じません。
むしろ、地方のプラモ屋の方が掘り出し物があるので
幸せを感じます。(ニーズが特化し過ぎなので参考にならず)

地方の高校は、修学旅行にディズニーランドに行くことが多いけど、できれば、ラッシュ時の新宿、渋谷あたりの
山手線に乗せてあげたら、都会へのあこがれが減るんじゃないかな、と思ったりもします。

その点、宮崎県などは、キャリア教育に真剣に取り組んで、
地域で活躍する人材をどんどん増やしています。
きっと、それをやった地域は、企業も元気になって、
成長すると思います。

そうか・・・
地元にいい企業が無いから、都会に行く、という思想も、
地元をますます弱くするな。
地元の企業を強くするための人材教育、という視点が必要かも。
そのために、義務教育は地方自治体の教育委員会が所轄してるはずだよなあ。
だって、そうしないと、街の税収はどんどん減るよ。
あ、もしかして、地方交付税の方が遥かに金額が大きいから、
企業の税収なんて増えなくてもいいのかな・・・。

そんな風に考えていないことを祈ります。

子ども達は、街の宝です。という台詞は、
よく教育委員会の方が言いますが、
だったら、その宝を、都会に流出させずに、
地元で輝かせられるようにしたらどうでしょう。と思います。