植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

L3/35 1/35 ペーパークラフト

カルロ・ヴェローチェ L3/35 紙 1/35

とりあえず、完成。
小さいからたいへん。

これは、気合い入れバージョン。
いろんなハッチや、ヒンジ類を、全部重ねばりして、
切り出して、ちまちま貼っています。
そうすると、紙でもこんな立体感や、モールド表現ができます。
でも、かなりよく切れるカッターと、
ヘッドルーペとピンセットは必携です。

ただ、もともとの車体のパーツに、それらのモールドは
すべて印刷されているので、車体の箱組だけでも、
実は結構いいかんじになります。

いま僕が設計している戦車のペーパークラフトは、
基本的にキャタピラ部分を印刷ですませています。
そうすることで、ものすごくつくりやすくなります。
転輪いっこいっこつくるとなると、
もうそれだけで、つくるの嫌になります。

ペーパークラフトは、つくっていくと上手になります。
そして、こだわりたくなります。
その上達とこだわりに対応できるようなキットにしたら、
何度も楽しめるかな、と思っています。

二連装機銃の銃身だけは、コピー用紙ですが、あとは、
135g/平方メートルのケント紙です。

中学生の頃、ペーパークラフトをつくっていると、
うちの父さんは、禁止はしなかったけど、
あんまりいい顔をしませんでした。
きっと、父さんは、鉄でつくらせたかったのだと思います。
でも、鉄でつくったら本物じゃん。
ま、それはいいとして。
で、中1の夏休み、僕は父さんの仕事の手伝いをしていて、
左手をボール盤に巻き込まれます。
φ13の一文字ドリルで薄板に穴あけをしていたときです。
たしか、町内の夏祭りの提灯の部品をつくっていたはずです。
もっと細いドリルなら、手が巻き込まれても、ドリルが折れて
たいした怪我にはならなかったと思います。
でも、φ13のドリルと、中学生の手では、手に勝ち目は無いです。
僕の左手は、かなり損傷し、指の一部が失われました。
そのとき、父さんは、ものすごく後悔しているようでした。
父さんが泣いているのをはじめて見ました。

あいにく、僕の怪我はなかなかなおらず、
傷口は腐って、治療は2ヶ月にもなりました。
しばらくは、僕はかなり不便な暮らしをしていたと思います。
(どのくらい不便だったのかは、ぜんぜん覚えていません。人間は順応します。)
やがて、再びペーパークラフトをつくりはじめます。
忘れもしない、秋月型駆逐艦
その砲身を、紙を巻いてつくりました。太さは1ミリくらいです。
それを見た父さんは、すごくホッとした顔をして、
こんなに細かいことができるのか、とほめてくれました。
はじめて、ペーパークラフトがほめられました。
きっと、手の怪我のことを、励まそうとしてくれたのだと思います。不器用な父さんの精一杯の努力だと思います。
以来、僕は、紙を細く丸めるたびに、
父さんがほめてくれた時のことを思い出します。

いまでは、僕の左手の握力は、右手よりもあります。
(配線の圧着ばかりやってた10年前は、60キロありました。いまは、たいしたことないですけど。)
怪我をしたことで、一番嫌だったことは、同級生から不具呼ばわりされたりしたことですが、今では相当器用です。
(おかげで、義手やマニピュレーターについても、相当勉強できたし。)

と、ペーパークラフトつくるたびに思い出す昔話でした。

このL3/35は、4月中にはpdf公開します。
しばしお待ちください。

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