植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

必殺!ヒトリスピンオーフ!

日本は、民間企業の研究開発への投資が少ないために、
研究開発は国が大学などの公的機関を使って行うケースがほとんどです。
その際の開発費は、国費です。税金です。

税金は、大切なお金ですから、
あやまった使い方はできませんし、
失敗することには使えません。

ということで、研究開発で予算を得ようとすると、
(1)先進性(前例がないこと)
がとてもじゅうようになります。
誰かがやった研究をだぶってやったら、国費の無駄遣いです。
そして
(2)で、それ実現できるの?(実績や前例)
も求められます。
なにせ、失敗したら国費が無駄になって責任問題です。

前例がないことを求めつつ、前例がないとだめ。

このすばらしい矛盾を、みんな苦労して乗り越えます。

その結果、とにかく、要素技術だけは異常に複雑に進化します。
でも、それらの既存技術を組み合わせての複合技術は、
先進性がないということで、お金がつきません。
だから、せっかく開発された技術を活かした製品が
ほとんど実用化されません。

これは、税金を使う研究開発の抱える大きな問題です。

そこんとこいくと、植松電機の研究開発はおおらかです。
自分たちで研究開発し、そこで得られた成果(技術ももちろんですが、開発に関わることで得られる人間の能力)を活かして、
食い扶持の製品を開発できます。
僕はこれを、「一人スピンオフ」とよんでいます。

スピンオフとは、宇宙開発などの研究開発で生まれた技術を民間の製品として実用化し、社会のために役立てる、という考え方です。
たとえば、低反発布団などの素材は、航空機の座席の材料として開発されたものです。(墜落時の衝撃吸収)
それを、植松電機は、自社内でできます。

でもこれって、実はあたりまえのことです。
人間は、なぜ運動するのか?なぜ学ぶのか?
運動や、勉強では、お金になりません。
でも、それによって得られた能力が、社会の役に立って、それが仕事になります。
だから、お金にならない運動も勉強も、とても大事です。

しかし、運動や勉強によって得られる能力の素晴らしさや可能性を知らない人は、運動や勉強が強制されなくなったらやりません。
または、業務としてお金をもらわないと勉強できません、と言い出します。
そういう人の能力は増えませんから、自動的に、もっと有能な人に負けます。
そういう人は、すくなくないです。

お金にならないトレーニング。
それがあるからこそ、お金を稼げる。
一人スピンオフ!

これがあるから、植松電機はがんばれます。

これに気がつく人が、もっと増えたらいいなあ、と思います。
(これに気がつく会社が増えて、民間の研究開発がもっとふえたらいいなあ、と思います。)