植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

軽くする努力は大事です。

アメリカの極初期の試験的戦車 T1E1型

もちろん、実用化はされていないです。
足回りは、アメリカがフランスから購入した
ルノーFT型の影響をかなり受けています。

なんでこれをペーパークラフト化したかというと、
先月末に発売になった、パンツァーという月刊誌の特集に、
アメリカの第二次世界大戦前の戦車の開発史が出ていたからです。

ということで、3枚目の、M1コマンドカーを
作ってみました。
となると、その先輩も作りたくなるわけで。
調べに調べて、T1E1にたどり着きます。
(って、1世代前なだけだけど。)

第二次世界大戦前の戦車は、
かなり迷いが感じられます。
何しろ、第一次世界大戦での支出の負担に
喘いでいた時代ですし、
おまけに、世界恐慌までおきました。
しかも、戦車は果たして使い物になるのかどうか、
まだまだよくわからないのです。
ということで、世界中で、戦車は小さくなります。
そんななか、アメリカは、
航空機の軽量なエンジンを採用します。
サスペンションにも、渦巻きバネを使用し、軽量化を狙います。
(渦巻きバネは、技術的に板バネより大変ですが、うんと軽くなります。)
そして、戦車のサイズも、比較的大きい。
軽くしたいだけなら、戦車を小さくすればいいのに、
そうしないで、技術的努力で軽量化し、
戦車そのものは比較的大きくする。
これが、結果的に、あとの発展につながります。

いままで、様々な機械の開発をしてきましたが、
経験から、たいていは、技術的努力で軽くすることと、
設計にサイズ的ゆとりを持っていると、発展の可能性があることが多いです。

僕は、学生時代から、自分で飛行機の設計をしてきました。
いまだ自分の手で作るに至っていませんから、
机上の空論にすぎないとも言えます。
しかし、飛行機の設計では、軽くすることと、余裕を持たすことは、とても重要です。
それをずーっとやってきたので、
なんとなく本能的に、そういう設計を目指してしまいます。
それが、植松電機マグネットの軽さや、発展性につながったと思います。

ともすると、建設機械関係の設計をしていると、
板厚25ミリとか、32ミリとかが普通だし、
使うネジも、10ミリなんて小ネジの扱いです。
なんせ、お客さんがどうやって使うか予想できないので、
相当に頑丈に作らなければいけません。
でも、その感覚に慣れてしまうのは怖いです。
「念のため丈夫にしとけ」
「念のため、ワンランク上の厚さにしておけ」
という概念がわいてきます。
だから今も、僕は自分で飛行機の設計や計算をします。

僕は、飛行機の設計は、
世の多くの設計者が経験しておくべきではないかと思います。
飛行機の設計概念は、一般的な製品の開発にも役立ちます。
と、思います。

技術の発達史を知ると、
人類の苦労と努力を駆け足で知ることができます。
最初のものは、すべて手作りでちゃちです。
だから、自分でもできる気がします。

いま、災害に備えて、様々なキャタピラの車両が
消防に装備されはじめていますが、
残念なのは、そのほとんどが外国製だということです。
日本人にはつくれないのかねえ。

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