植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

本当の成功体験。

植松電機でのロケット教室では、
僕らは作り方を教えません。

そのかわり、わからないことの乗り越え方と、
失敗の解決の仕方を最初に教えます。

わからない時は、調べればいいです。
(1)まわりの人の作業をみる。
(2)サンプルのロケットをみる。
(3)説明書をみる。
それでもわからなかったら、
(4)まわりの人にきく。
(5)植松電機のスタッフにきく。
です。
そして、わかったことを、しゃべるといいです。
でもその時は、
「こうしなさい!」ではなく、
「僕はこうやったらうまくできたよ」
「私はこうやったらきれいにできたよ」と
みせびらかすんだよ。
そうしたら、この世からわからないことが無くなるよ。
です。

でも、はじめてのことだから、失敗することがあります。
その時は、自分ではどうにもならないから困ってるんだから、
助けを求めたらいいです。
「やってもうた!」と言ってね。
そしたら、助けにいくからね。
予備部品もいくらでもあるからね。
失敗は、隠すと大事になるから、失敗したら、助けを求めてね。
です。

子ども達は、わいわいがやがやロケットを作ります。

だから、子ども達は、ロケット打ち上げが不安です。
失敗するかもしれない、という不安にかられます。
だから、ロケットが飛んで行くと嬉しいです。
楽しい、ではなく、嬉しい、です。

でも希に、うまくいかないこともあります。
そういうときのために、僕は、
ロケットが全損しても復活できる装備を準備して待ちます。
うまくいかなくて悲しい顔をしている子に、
「うまくいかなかったら、もう一度飛ばせるおまけ付きなんだよ」と言ってから、故障の原因を考え、説明し、復活させ、
リトライしてもらいます。

これが、
「はい、1番こうしなさい!」
「みんなできたかな?、じゃあ、2番こうしなさい!」
という方法だったら、
まず、製作にとてつもない時間がかかります。
器用な子は、ひまをもてあまします。
不慣れな子は、せかされて、友達を待たしていることがつらくなります。
そして、失敗したときには、「言われたとおりにやったのに」になります。

失敗する可能性の無い、
自分の力で作った感じもしない、
言われたことを、言われたとおりにやっただけ、
では、成功体験にはならないと思います。
僕は、ロケット教室が無事に終わると、ほっとします。
でも、毎回100点ではないので、もっと良くするための改良を
毎回細かくしています。
ロケット教室が無事に終わってほっとするのは、成功ではありません。
子ども達に成功体験をしてもらうのが成功です。
教えた側は、無事に終われば成功、と思うかもしれませんが、それは、自分の成功でしかありません。

大事なのは、子どもの成功体験です。
そのためには、自分で考えて、自分で試す、という
自己判断の責任を感じさせることが重要です。
そして、失敗をリカバリーする準備も必要です。

子ども達がロケットを飛ばすとき、
たまに、うまくいかないことがあります。
そんなときに、先生が大声で「わあ!失敗だ!」と叫ぶのが、
ものすごく嫌です。
だって、ロケットは飛んでいるのです。
飛ぶとこまでは成功です。
僕は、「きっと、原因があるよ!一緒に考えてなおそう!」と言います。

子どもに受験勉強させて、子どもが進学して、
でも、その成功体験は、保護者と先生の成功体験かも。

驚くほど失敗を恐れ、なにもしないことを選んでしまう子が、
高学年ほど増えます。
ロケットを作るのは、小学生が一番はやいです。
高校生は、驚くほど遅いです。高校生は、驚くほどかたまります。
わからなかったら、わからないまま、かたまります。
なんででしょう。

子ども達には、真の成功体験が必要です。
大人が成功体験してる場合じゃないです。