植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

挨拶は安否確認

以前、中標津というところで、マグネットの取り付け作業をしました。
夜中に長時間運転して行って、朝から作業開始です。
でも、とてもよい天気で、気温がどんどん上昇しました。
ものすごい暑さの中での仕事です。
僕は、暑いとか寒いとかに、かなりにぶいです。
沢山汗をかくから、暑さに耐えられるのかも。

一緒に作業していたメーカーの人達が、
頻繁に休憩する中、僕は意地で休まず働きます。

作業も、ほとんど終わる頃、
僕は鼻をすするようになったようです。
鼻水がどんどんでてきました。
しきりに、鼻をかみはじめたようです。
すると、一緒に仕事をしていた僕より若い技術者が、
「だめだ!」と言って、僕を車の中に押し込みました。
車の中は、日陰で、エアコンが効いていました。
水を飲み、まもなくして、めまいがしてきました。
どうやら僕は、熱中症になっていたようです。
その若い技術者がいないで、
一人で作業をしていたら、僕は死んでいたかもしれません。
なにしろ、誰もいない、山の中のパワーショベルの上ですから。

なぜ彼は僕の異常に気がついたのか?
彼の会社は、鉱山機械のメーカーでした。
鉱山の中では、太陽は無いけど、気温が高いために、
熱中症はおきるのだそうです。
そして、たいてい、本人はわからないそうです。
だからこそ、まわりの人間が、お互いの顔色を見て、
そして、鼻水が出たらまずい、という言い伝えがあったそうです。
そこで判断したんだ、と言っていました。
助けられました。

熱中症は、本人にはわかりにくいです。
だからこそ、まわりの人の思いやりが必要です。
それは、寒さもそうですね。
北海道では、冬に、頭に雪がのっていると危ないです。
帽子をかぶらない人は、頭につもった雪が溶けて、
一気に体温を奪われてしまいます。
だから、帽子をかぶっていない人には、
帽子か、手ぬぐいでもいいから、頭をおおうよう助けるべきです。

それは、ほかのことでも言えます。
人間は、自分のことには思いのほか鈍いです。
だからこそ、まわりの人の助けが必要です。
顔色や、目付き、姿勢、行動、様々なことに、
異常のシグナルが出ます。
それを「大丈夫かな?」とまわりの人が思いやることができないと、
人は、どんどん悪い状態になってしまうことがあります。
脳溢血の対応もそうですね。
本人はわかりにくいし、認めたくないから、大丈夫と言いがちだけど、だからこそ、まわりの人が助ける必要があります。

だからきっと、挨拶はだいじなのだと思います。
お互いに大丈夫かどうかを確認するためにです。
挨拶すればいいってもんじゃないです。
相手の顔を見て、目を見て、お互いの安否を確認するのです。

人と関わるのはめんどくさいかもしれないけど、
大切な仲間を守るためにも、
挨拶は必要です。