植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

旅客機が音速を超えたら人類の新しい未来が広がるかも。

人類は、けっこう前から大きな壁にぶちあたっています。
それは、音の壁サウンドバリアーです。

ジェット旅客機が実用化され、性能がどんどん良くなっています。
しかし、移動時間は短縮されていません。
なにしろ、ジェット旅客機で音の壁を越えるのは
かなり大変なことだからです。

最近のジェット戦闘機の中には、通常出力で音速を超えられることを売りにしているものもありますが、
それは、通常出力がすごく強いということです。
ジェットエンジンは、パワーを一時的にすごく増す機能があるものがあります。アフターバーナーもしくはリヒートとよばれる方法です。
でもそれは、とてつもなく燃費が悪く、長時間は使えません。
最新のエンジンは、アフターバーナー無しでも、昔のアフターバーナー時よりパワーがあります。
でも、所詮は、パワーに見合った燃料消費を必要とします。

物理の法則から、なかなか人間は逃れられません。
そのため、燃費は、速度の3乗で悪化します。
速度を2倍にすると、理論的に必要なエネルギーは8倍になります。

また、音の壁を越えると、衝撃波が発生します。
それは、音の壁を貫いた物体の体積に比例します。
大勢を載せられる旅客機で音の壁を越えると、
それはもう、強烈な衝撃波が発生します。

かつて、コンコルドという、それはもう美しい旅客機がありました。
彼女は音の壁を越えられる旅客機でした。
しかし、ヨーロッパの機体だったために、
アメリカがかなりきびしいネガティブキャンペーンを展開し、
アメリカ上空で音速を超えることを禁止したりしました。
その結果、コンコルドは、その性能を発揮できず、
さびしく消えていきました。

その結果、どんなに旅客機の性能がよくなっても、
アメリカまで12時間。というのは短縮できません。
人間は、おおよそ時速1000キロを超えられないです。

でも、それを超える方法もないわけではありません。

音の壁は、空気によって生まれます。
だから、空気がとことん薄い高い空を飛べば、
音の壁の影響を少なくできます。
空気がない場合、エネルギーが速度の3乗に比例する、という現象からも逃れられます。

ちなみに、加速したら減速しないといけません。
現在までは、そのエネルギーを熱にして消費するしかありませんでした。
でも、最近、電気ジェットモーターの可能性もでてきました。
これならば、減速時に、回生して、速度エネルギーを回収できるかもしれません。

ロケット技術と、軽量なモーター技術ががんばると、
もしかしたら人類は、ようやく1000キロを超えた移動ができるかもしれません。
地球上の移動が、今の半分の時間ですむようになったら、
もしかしたら、あたらしい未来がはじまるかもしれません。

これは、おそらくやって来る未来です。
そして、そうなったほうがいい未来です。
これからは、宇宙を飛ぶ旅客機の時代がやってきます。
そのために、いま、北海道には、スペースポートを作ろうという計画があります。
これは、ぜひ伸ばすべき、投資すべき分野だと思います。
どこの国も深く取り組んでいません。
だからチャンスです。
航空産業では、世界はボーイングに首根っこをつかまれています。
でも、ボーイングがやらないことならば、
首根っこつかまえられません。
これは、日本の航空産業の独立のためのチャンスです。

と、僕はかなり真剣に思ってます。
こっそり、研究を進めます。
(電気ジェットモーターに似たようなものは、かつて、カプロニ・カンピーニという機体や、日本の特別攻撃機「桜花」に搭載されました。通常のジェットエンジンは、コンプレッサーで圧縮した空気を燃やして、その排気ガスでコンプレッサーを駆動する、という仕組みですが、排気ガスのエネルギーを空気を圧縮するために使うので、その部分の効率が悪いと、とても燃費が悪くなります。それに対して、空気を圧縮する仕事を、別な外部エンジンで行うという方法があります。それが意外と効率がいいのです。最近は、モーターの性能が向上したので、ジェットエンジンのコンプレッサー駆動をモーターで行うことも不可能ではなくなってきました。そうすると、回生できるジェットエンジンを実現できるかもしれないのです。)