植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

学研のエックス図鑑は素晴らしかったです。

学研のエックス図鑑。

1970年代後半に出版された本です。
だいたい、僕が10歳くらいの頃にであっていることになります。

子ども向けの本です。
それが証拠に、中身はふりがなが沢山です。
でも、内容には容赦がありません。
フルパワーで書かれています。

僕はこのシリーズが大好きでした。

どのシリーズも、年代毎、国毎にまとめられていて、
最初から読んでいくと、進化の過程を知ることができるし、
同じ時期に、国によってどんな違いがあったのかも
知ることができるようになっています。

技術的な構造などの説明も豊富で、
本当に読み応えがある本です。
だから、僕が持っていた本の中で、
原型をとどめているのはほとんどありません。
たいていは、表紙も背表紙もなくなっています。
中には、幼い僕の書き込みがあちこちに見られます。
でも、いまでも大事にしています。

数年前に、戦闘機・爆撃機、と、戦車・装甲車をまとめた本が、大型の図鑑として再販されました。
内容は昔とほぼ同じなのですが、
重すぎて、大きすぎて、気軽に読めません。
しかも、ふりがなは一切ありません。

エックス図鑑は、乗り物系の武器に関しての本でした。
飛行機や戦車や軍艦です。
それを、武器だからと嫌う先生は沢山いました。
僕がこの本を読んでいると、「人殺しになりたいのか?」と
眉をひそめて言う先生もいました。
そういう先生は、親が自衛隊、という生徒のことも
とても差別していました。
そういう先生は、感情を隠さないので、すぐにいらつきます。まわりの生徒は、その先生に嫌われたくない一心で、同調しました。
それはとても、理不尽なことのように思えました。

僕は、このシリーズのおかげで、工学を知りました。
様々な構造や、仕組みも覚えました。
それらの知識を活かして、僕は今、建設機械に装備する
ゼロエミッションのマグネットを生産し販売しています。
武器から得られた知識によって、植松電機のマグネットシステムは、
なかなか壊れず、そして、壊れても迅速になおせるようになっています。
それは、使用する人の仕事の効率を上げています。
だから、リピートで何台も導入してくれているお客さんが多いです。

僕は、エックス図鑑に限らず、様々なものの仕組みや、開発の歴史を知ることが大好きです。
なぜなら、昔の大人がおしえてくれたからです。
「見てごらん、この世にある人間が作っているものは、すべて、普通の人が作り方を習って作っているだけなんだよ。どんなものも、作り方を知れば作れるんだよ。なければ作ればいいんだよ。」

でも、学校の先生は、それを全く否定してくれました。
作る仕事は、きつい、汚い、危険、で、そういう仕事をするのは、
勉強しなかったから、学校に行けなくて、そういう仕事しかできない人なんだ。
僕の身の回りには、自営業のものづくりの人が多かったです。
だから、そういう人が否定されているようでつらかったです。
でも、その先生は、作業服や、真っ黒い手を蔑んでいました。

だから僕は、どこに行く時も、作業服です。つなぎです。
さすがに、品川プリンスとかだと、ちょっと緊張しますが、
でも恥は感じません。
品川プリンスの、かっこいいホールの人が、僕の講演のあとで、
こそっと、「作業服かっこいいです。」と言ってくれたのが嬉しかったです。

僕はこのエックス図鑑に感謝しています。
できれば、当時jのままで再販してほしいなあと思います。
それがだめなら、せめて、こつこつと奇麗な本を探して集めておきたいなと思っています。
いつか、電子化できるかもしれないから。
(本の著作権って何年できれるんだっけ?)

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