植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

科学は社会の問題を解決するためにある

アクセルとブレーキを踏み間違える、という事故は
少なくないです。

問題になるのは、たいていは、停車時やそれに近い状態です。
走行中に、アクセルとブレーキを踏み違えても、
車両の走行時のエネルギーが大きいので、
エンジンやブレーキの影響が少なくなります。
AT車を運転中、うっかり、クラッチのようにブレーキを踏んでも、急ブレーキにはなるけど、そんなに大事にはならないです。冬道だとスピンするかもしれないけど。)

車の速度が極めて小さい状態にこそ、
アクセルとブレーキの踏み違えは、大きな問題になります。
しかし、その場合は、自動車の速度は小さいですから、
自動車が持ってる運動エネルギーは大きくありません。
だとしたら、
バンパーに力が加わったところで、アクセルをオフにする。
という制御だけでも、
アクセルとブレーキ踏み違えによる事故を減らせるかも。

最近のスマートアシストカーのほとんどが、光学的に
前方を監視していますが、
実際には、センサーが汚れたりすると、反応しなくなります。
それに対して、物理的にバンパーが押されることを検出するのは
かなり確実です。

そしてそれを、すでに存在する自動車に後付けで装備できるようなキットにしたら、助かる人が増えるかもしれません。

でもきっと、それって、売れないだろうな。
だって、新車の販売に悪影響がでる。
なんらかの形で、圧力や妨害がかかると思います。

植松電機のマグネットシステムは、油圧ショベルに電磁石を装備させるものです。
従来の大型マグネットは、油圧ショベルに大改造が必要なので、
たいていは、マグネットを欲しい人は、改造工事を含めて油圧ショベルを丸ごと同時に買うことになります。
でも、植松電機のマグネットシステムは、中古の油圧ショベルにも、数時間でマグネットを装備できます。しかも、車体側に必要な装備が少ないので、いまでは、レンタル会社によっては、すべての車両に植松電機のマグネット配線を施している、というケースもあります。
でも、これは、油圧ショベルの新車販売には、間違いなくマイナスの影響になります。ということで、最初は油圧ショベルメーカーからは、かなり嫌がられました。

でも、それを乗り越えることはできました。
大事なのは、お客さんのニーズです。

いまや、キャブレターの自動車はほとんどいません。
たいていは電子制御燃料噴射です。
だとしたら、アクセルの信号は電気信号に変換されています。
それを、一時的に遮断するのは難しくないです。
工業高校や、高専レベルの電気電子工作で、
十分に実現できると思います。
これをやるためには、おそらく、相当いろんなことを調べることになると思います。その途中で、いろんな壁にもぶつかるでしょう。
でも、だからこそおもしろい。勉強になります。

これから、高齢者ドライバーは、まだまだ増えます。
未来の自動車に依存しない社会も大事ですが、
それが実現する前には、まだ時間がかかります。
その間をなんとかする、安価な自動車安全技術は、
もっと考えるべきだと思います。
(いや、ほんと作りたいよね。でも、植松電機も強烈な人手不足で、なんとも動けないのがもどかしいです。あと2年から3年すると、関わった小学生や中学生が、応募してくれるかな、と期待しているんですが・・・)