植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

禁止という管理ではなく、制御しよう。

僕はエアガンが好きです。
理由は、たくさんあります。
そのなかで、もっともおおきいのは、
「運動が苦手でも活躍できる」だと思います。
僕は、片方の目が悪いので、球技がとてつもなく苦手です。
でも、エアガンという球技だけは、自信があります。
(6mmの玉を使うから、一応球技かと・・・)

先日、オリンピック選手を育成するために、
競技用のエアピストルの年齢制限を緩和しようという
動きがあることが報じられていました。
素晴らしいことだと思います。
エアガン射撃は、立派な競技として世界では普及しています。

僕は、趣味で、アーチェリーもたしなみます。
もちろん、うまくないです。
でも、おもしろいです。
しかし、アーチェリーの練習をする時は、すごく気をつけます。
なにせ、確実に殺傷力があります。
矢が届く範囲内に人間が入れなくするのは、最低限必要な
安全対策です。

僕は、ボウガンも勉強のために入手しました。
いやこれはもう、たいへんです。
一本矢をかけるだけで、体力的に廃人です。
すごく重いです。
でも、その威力は凄まじいです。命中精度も高いです。
これも、とても危険です。

僕は、スリングショットも持っています。
海外製のパチンコで、狩猟にも使えます。ほど高威力です。
金属製の弾丸を発射します。殺傷力は高いです。

以前、自転車で転んで病院で手当を受けている時に、
まわりが騒がしくなりました。
なんでも、お母さんが家でゴルフの練習をしているときに、
足下に走り寄った小さな娘さんの顔に、振り下ろしたゴルフクラブが
あたってしまったそうです。
それはもう、すごい怪我でした。
だから僕は、駅のホームで、傘でゴルフの練習をしてる人が怖いです。

包丁も、自動車も、バットも、人を殺せます。
でも、それを使って人を殺す人は多くはありません。
それは、使う人間の心が、悪事に使うことを食い止めているからです。
大事なのは、人間の心です。

そして、人間の心は弱いです。
だから、禁止は危険な可能性があります。

たとえば、エアガンであれば、県の条例などで、
年齢制限などがかかっていることが多いです。
(有害玩具としてエアガンを指定している県はあります。)
それに輪をかけて、それ以上の禁止をしてしまう家庭もあります。
でも、それは無意味な可能性があります。
以前、「うちはこどもにはゲーム禁止なんです」と、ドヤ顔で言ってるお母さんの子どもが、毎日他の子の家に行って、長時間ゲームを独占するので嫌われている、というケースがありました。
禁止すると、かくれてやるようになります。
エアガンのばあい、かくれてやると、よくない発展をしてしまうことがあります。
狭い部屋では、命中精度は問題じゃなくなります。
せまいから、必ずあたるからです。
だから、何かを壊す方向に行きます。
コピー用紙のターゲットに穴をあけるんじゃあ、つまらないのです。
ダンボールに穴をあけ、ティッシュの箱に穴をあけ、
安いガンプラを壊し、空き缶を狙うけど、空き缶はさすがに穴があかない・・・のが悔しいと、エアガンの威力を上げる改造をしたくなります。
それは危険です。
もちろん、一人きりだったりするので、エアガンの安全な操作なんて必要ないです。
安全装置もかけない。指はトリガーにかけっぱなし。
銃口がどこを向いているかなんて、まったく気にしません。

でも、エアガンでシューティングマッチや、サバイバルゲームを、みんなで楽しめるようになると、正反対です。
そこでは、エアガンの安全操作が徹底されます。
<銃使用の心得(ジェフ・クーパーの4つの提唱)>
(1)銃はすべて装填されていると考えよ。
(2)銃口は標的以外に向けない。
(3)標的を照準するまで指はトリガーガードの外に。
(4)標的の向こうに何があるかを把握しておく。
です。

そして、安全基準以内じゃないと参加もできないし、
遠くのターゲットを狙うから、命中精度が大事になります。
また、移動するまとを撃つ時は、発射速度が速い方があたります。
となると、エアガンのバネを弱くしてでも、発射速度を上げたくなります。これは、安全な方向への改造です。

危なそうだから、禁止しよう。
ではなく、
危ない可能性があるから、どうやったら安全にできるのか。
を考えることが大事です。

以前、ある中学校では、携帯電話の教育をしていないと言いました。
その理由は、本校では中学生の携帯電話所持は禁止なので、
携帯電話の安全教育をする必要が無い。です。
だって、かくして持ってたら?
だって、高校にいったら?社会人になったら?

日本海軍では、船が損傷した時の回復の仕方の訓練は嫌われたそうです。なぜなら、えんぎでもないからだそうです。
そして、沈まぬように作っているのだから、沈まない。のだそうです。
損傷対策をがんばったのは、沈む可能性のある小型の艦船くらいだったそうです。その成果があって、かなりの数の駆逐艦が、艦首がもぎ取れても生還したりしています。対する空母などの大型艦船のうたれ弱さは、かなしいです。

性的なことも同じです。
興味を食い止めることはできないのです。
だからこそ、禁止して、自分の視界からシャットアウトするのではなく、ちゃんと見つめて、安全にするにはどうしたらいいかを
考え伝える必要があります。

管理とは、禁止でできるものではありません。
制御が必要です。
禁止は楽チンです。でも、効果は限られます。
制御は大変です。でも効果的です。

隣の歌志内市でも、ペイントボールガンでの撃ち合いを
ビジネスとしてはじめました。
ちかくの夕張市でも、エアガンを使った夏場のバイアスロンのような競技をビジネスとしてはじめました。

禁止すると、悪い方向に行く可能性があります。
だからこそ、安全にできる環境を作る必要があると思います。