植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

スーパーサイエンスハイスクールという仕組みはとてもいい!もっとよくしたいね。

先日、高校のスーパーサイエンスハイスクールの子達の
発表を見る機会がありました。
みな、がんばって自分なりの研究をしていました。

その日の午前中は、小学校でお話をしていました。
その小学校の6年生の女の子は、植松電機のコズミックカレッジに来てくれていて、かなりのことができます。
ハンダ付けも楽勝です。
ということで、その女の子は、発明のコンクールで賞をもらったそうです。太陽電池を利用した素晴らしい工夫でした。

いま、日本の産業の構造は大きく変化しています。
ロボットやコンピューターの発達によって、
単純作業はロボットの仕事になりつつあります。
さらには、食品に毒を入れた作業者がいたために、
安全のためには、人間を職場から排除するのが一番有効、という
状況にもなってしまっています。
僕は、Amazonのおかげで、ほとんどお店に行かなくなってしまいました。

しかし、いくらロボットががんばっても、思考はできません。
思考ができるコンピュターのようなものもありますが、
まだまだ、とてつもないサイズと消費電力です。
(人間はすごいわ)
それは、いつか人間並みに小さくなるかもしれませんが、
それまでには、まだ20年ほどはかかるかも。

ということで、これからしばらくは、
思考できないと、ロボットに仕事を奪われる、可能性があります。

現在自分がやっている仕事が、
単純作業の繰り返しである場合、
それは、自動化される可能性が十分にあります。

ということで、文科省は、高校にスーパーサイエンスハイスクールを設置し、研究開発(思考)できる人材の育成に力をいれています。
これは、国策です。
そして、小学校は、調べ学習で、研究開発を経験させています。
しかし、中学校が、微妙です。

文科系の部活が、どんどん減ってしまいました。
科学部がある学校は、ラッキーだと思った方がいいです。

小学校で工作や科学に興味を持ち、性能を伸ばした子達は、
中学校で、その価値を理解してもらえないことが少なくないです。
特に女子は、理系を選ぶと、親や友達からも、
とやかく言われてしまうことがあります。
そのため、せっかく好きだった、科学や工作を、
やめてしまう子も少なくないです。

残念ながら、スーパーサイエンスハイスクールを獲得できる学校は、
その地域の、高偏差値の進学校であることが多いです。
そして、その高校において、理系コースは、さらに選抜された、
進学強化コースになってることが多いです。
そのため、スーパーサイエンスを選択する子は、
必ずしも科学に興味があるわけではなく、
偏差値が高いから自動的になっちゃった、というケースも
少なくないです。
でもそれでは、本来やりたいことではないことをやるわけだから、
どうしても、身が入らないです。
ましてや、スーパーサイエンスの授業は、受験勉強にプラスに作用しないことが多いです。
だから、スーパーサイエンスの授業には労力を最低限にして、「こなす」人も少なくないです。
これは、本来のスーパーサイエンスの目指すことではないような気がします。

僕は、中学校でも、スーパーサイエンスをすべきだと思います。
そして、すべての高校に、スーパーサイエンスなクラスをつくるべきだと思います。
学校の勉強は苦手だけど、興味のあることの集中力は半端ない、という子達を、さらに伸ばす環境になるかもしれない、と思います。

某自動車メーカーの方がぼやいていました。
もう、自動車を好きで好きでしょうがない、という子は入社してこない。なぜなら、そんな子は、受験の成績があまりよくないから、
受験でふるい落とされてしまう。
受験勉強を専門的に強化した、趣味も興味もない人間の方が、入社テストを好成績で突破してしまう。
それは、自動車の開発に、決してプラスには作用していない。

社会は変化しています。
昔は、指示されたことを指示されたとおりにしっかりできる、素直で真面目な人が必要でした。
受験は、その性質を調べるのに有効だったと思います。
しかし、素直で真面目は、ロボットに負けるようになりました。
これからは、思考力が重要です。
でも、現在のマークシート式の試験は、思考力を評価するためには、あまり有効とは思えません。(選択肢が有限であるかぎり、思考をしなくても、消去法などをつかって、答えを選ぶことができてしまいます。でも、そういう人は、選択肢が無い問題にであった時に、フリーズしてしまうことが多いです。)

大人が持っている受験の価値観は、
これからの社会には通用しないと思った方がいいです。

僕は、スーパーサイエンスハイスクールという取り組みは素晴らしいと思います。日本もなかなかやるもんです。
だから、もっとよくなるようにできたらいいなと思います。