植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

ロジスティクスは大事です。

ロジスティクスという言葉があります。
かっこいいですね。
つかいたがる人も少なくないですね。
でもね、ほんとにわかってんのかな。と思います。

もともとは、軍隊の言葉の「兵站」かと思います。
古代ギリシャ・ローマ時代から、
大きな軍隊を動かすためには、その大勢が生きるための
食事も排泄もなにもかも重要なことが理解されていて、
それらの支援サポートの計画的な運用が研究されてきました。
もしかしたら、土地の扶養力が低い地域での戦いだったからこそ、
兵站が重用視されて来たのかもしれません。

それに対して、日本では、国内での戦闘ばかりで、
しかも、扶養力が高い土地だったから、
どこに攻めていっても、食料その他は、現地調達。
進攻先の人々から奪えばいい、という発想で軍隊を動かして来た
ことが多かったので、兵站があまり研究されていなかったように思います。
(兵站をしっかり考えた武将は強かったです。)

しかも、江戸時代になって、天下太平。
戦争らしい戦争を経験してこなかった日本では、
兵站は忘れ去られ、
そして、ついに迎えた日清戦争では、
日本は補給や輸送で失敗しています。
(健康管理にも失敗していて、戦死者よりも、脚気で亡くなった人の方が圧倒的に多いほど。)

それでも、勝ち戦になっちゃったもんだから、
華々しい戦いばかりが誇張され、
補給や輸送に関わる人達は蔑視されます。
その結果、成績の悪いものや、素行のよくないものが
補給や輸送の部隊にまわされる傾向となり、
さらにレベルが低下したそうです。

そして、第一次世界大戦を経験しなかった日本は、
膨大にふくれあがった弾薬消費量の輸送などにも目を向けず、
第二次世界大戦を迎え、またしても、
補給や輸送の計画の杜撰さで大損害を出しています。
(相手の輸送システムを攻撃することもしていないです。
真珠湾でも、戦艦ばっかり狙って、その横の石油備蓄施設は
まったく攻撃していません。)

(現在の自衛隊も、輸送に関しては、十分とは言えない装備のような気がします。)

さて、では、現在の僕らはどうか。

後方支援の仕事を蔑視していないだろうか?

飲食店で、働いている人達を見下し、怒鳴りつけている人を見かけます。
スーパーで、レジの人を怒鳴りつけている人を見かけます。
僕らのような、つなぎを着て働く仕事も、「努力しなかったり、勉強しなかった人がなる仕事。」と思っている人も少なくないです。

お金を払う方が偉くて、サービスを提供する方が下。
なんていう感覚になってしまっていないでしょうか。

僕の会社では、仕事を受けてくれる外部の会社の見積書には、
基本的に値引き要請はしません。
だって、仕事を支えてくれている人達です。仲間です。

某大手自動車メーカーでは、毎年8%の値下げ要求、なんてものあるようですが、信じられないです。
とくに、円安で、下請け企業は材料を輸入するからつらくって、元請けは海外に販売するから儲かっちゃって、しょうがないから、値下げ要求をしないでいこうかな、なんていう、とんでもない上から目線の発想な会社が、日本を代表する企業だなんて、あんまりかっこ良くないです。

ほんとうは、どんな仕事も大事です。
でも、スーツを着て、大手企業で働くことが正解、と
教え込まれた人達は、職業選択の幅が異常に狭いです。
そういう人達は、中小企業を受けようとしても
親が反対してしまうケースもあるそうで、
その結果、働けないでしまっている人も大勢見てきました。

職業に貴賤無し。
しかし、人間には貴賤あるような気がします。

人を見下したり、自分以下を作ろうとするのは、
賤しい心です。
そういう心が、職業に貴賤をつけたがるのだと思います。

みんなが、おたがいを尊重するようになれば、
もしかしたら、もっと職業選択の幅も広がって、
中小企業にもよい人財がまわってくるかもなあ・・・
なんて思ったりしています。