植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

ケーキ作りの体験

昨日のお菓子作りは、ケーキ作りでした。

直径12センチほど、厚さ8センチほどのスポンジを
三層に切り分けたものに、クリームを塗って、果物を挟んで
ケーキを作るという実習をさせていただきました。

重要なのは、ケーキの垂直方向のバランスのようです。
傾かないように、細心の注意が必要でした。

スポンジを積層する際に、間にクリームを塗るのですが、
積層用のクリームは、粘度が高く、硬い感じでした。
そうしないと、ケーキが傾いたりつぶれたりするのだそうです。

しかし、かたいクリームを、柔らかいスポンジに塗る作業は、
なかなかに大変です。スポンジが壊れて、クリームに混ざってしまいます。おそらく、商品としては許されないのでしょう。
プロの手つきは、凄まじくなめらかでした。

スポンジの積層が終わったら、外部に粘度の低いクリームを
塗布していきます。水平面はともかく、側面の垂直面に綺麗に
クリームを塗布するのは、これまた大変でした。

クリームコーティングの終わったケーキを、
回転台から外して、トレーに乗せる作業も、これまた大変。
プロの方は、あっさりと移すのですが、
僕がやったら、見事に、トレーからはみ出ました。
せっかく垂直に気をつけたケーキが、思い切り傾きました。
なんとかなおしたくても、ケーキが柔らかいので難しいです。
微細振動を与えてずらそうかと試みましたが、
トレーは滑りにくく加工してあるから、やめたほうがいいと言われました。残念。素直に、プロにやってもらえばよかった。
しかし、おかげで、ケーキの移設の仕方はかなり体験出来ました。次はきっとうまくいくはず。
(しかし、でかいケーキとか、どうやってんのかな。)

最後に、上部に果物などをデコレーションするのですが、
普通に見ていたケーキ上部のクリームの突起物は、
絞り出してつくるのですが、これまた、絞出量と、
道具の引き上げ速度の兼ね合いがとても難しいです。
おまけに、ぐるっと一周して、ちゃんとスタートとエンドが揃わなければいけません。いや、プロはすごいわ。

これを書いていて、表現がほとんど、ロケットの胴体などを作るGFRPの積層作業になってしまっています。
でも、ヘラも使うし、粘度の低いものを塗りつける作業など、
ロケットの胴体作りと、ケーキ作りは、かなり似てるかも。

なんのきなしに買っていたケーキが、
人間が修練の末に手作業で作っていたのだということを知りました。
ケーキを見る目が変わりました。

このすばらしい機会を作ってくださった、「ほんだ」さんには、
本当に感謝です。
だって、材料の仕込みとか考えたら、ものすごい手間です。
おまけに、教える相手は、おっさんです。
おっさんは、いうこと聞かないし、勝手だし、
ある意味、低学年の子ども以下かも。
そんな我々を、怒りもせず、見捨てもせず、よくぞまあ、
笑顔で守ってくださいました。
僕らも、同じことをやってのける必要があると思います。


誰かに何かを教えるとき、
「なんでこんなこともできないんだ!」
「真面目にやれ!」
「やる気あんのか!」
は、決して言ってはならない言葉です。
なぜなら、これは、教える側に問題がある可能性を示しているからです。

「こんなこともできない」のは、教え方が不適切なのです。
「真面目」にできないのは、集中力を保たせる努力が足りません。
「やる気」がないように見えるのも、魅力をだせない教える側の問題かもしれません。
と、僕は思うようにしています。

自分の努力をせず、
自分はいつおどおりに同じことを提供するだけでは、
一人として同じ人のいない人間に対応なんてできません。
個々の性質や特性を見極めて、
それに適した教育を提供する必要があるはずです。

「そんなことやってる暇がない!」
という人もいるかもしれませんが、
それができている人たちがいるのも事実です。
その人たちは、「暇」なのでしょうか。

「暇がないからできない」「時間がないからできない」
というのは、「時間」を作る努力をしないための言い訳です。
そんなこと言ってると、
一生「いそがしい」「いそがしい」で、新しいことなど何もできないで終わってしまいます。

そして、新しいことができないと、自信が増えません。能力も増えません。でも、時代は進化しているから、取り残されます。
そして、できることや仕事が減ります。不安になります。だから、他人の自信を奪うようになったり、他人の努力を否定したりするようになります。「そんなことする暇があっていいね」って。

おかしの「ほんだ」さんは、僕らのために、
貴重な時間を作って体験実習をさせてくださいました。
だからこそ、ぼくらも、時間を生み出し、
もっともっと新しいことに挑んでいきたいと思います。

(ちなみに、ほんださんのお菓子の体験実習は、昨年もやっていますが、昨年と今年は、メニューが違いました。工夫と改良をし続けているほんださんには、本当に驚かされます。)

ほんださんのケーキ作りなどの実習は、
事前に電話で連絡をして、日程を調整すれば、
個人でも受けることが可能です。
子どもの誕生日に、ケーキをかってあげるのか、
それとも、ケーキを作れる能力をあげるのか、
それは、保護者次第ですね。
北海道のいらっしゃっるときには、
試してみてもよいかもしれませんよ。