植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

人件費が高い=リストラ・自動化、じゃなくってさ。

いま、日本は、人件費が高騰しています。
なぜなら、生きていくために、すごくお金がかかるからです。

マイホーム。子どもの学費。老後の備え。・・・
とにかく、給料がたくさんないと、不安です。

ところが、人件費が高いから、企業は、人件費を抑える努力をします。
最強なのは、ロボットです。
でも、ロボットにも問題があります。

なぜなら、設備投資は、後からやったほうが、確実に高性能で安価だからです。

となると、設備投資は、とてもリスキーです。

ということで、一番いいのは、自分では設備投資しないことです。
誰かに、設備投資させたらいいです。

大きなキャッシュフロースケールメリット
大手企業との大規模契約。
で、中小企業が、設備投資をします。
でも、実際には、
原材料費が高騰し、電気代も高騰し、
設備投資分を回収するには、さらなる稼働率向上が必要で、
どんどん生産しなければいけません。

すでに行き渡っているのに、まだ売るためには、
製品の寿命を短くするしかないです。

ということで、生きていくためにかかるお金が、さらに増えます。
だから、人件費がさらに高騰します。
だから、人間が、ますます働けなくなります。
だから、ますます自動化が進み、
ますます、生きていくためにお金がかかります。
これは、悪循環です。

消費しなければ回転しない経済構造であるかぎり、
この連鎖は濃縮しかされないです。

だから、そろそろ、強制的な消費に頼らずに
成立する経済構造を試してみてもいいのではないかと思います。

人件費が高い=人間を使わない
ではなく
人件費が高い原因はなんだろう?
と考えてみました。

人生で最大金額の買い物といえば、マイホームです。
もしかしたら、
マイホームの値段が高すぎて、寿命が短すぎることが、
生きていくためにかかるコストを押し上げて、
人件費を押し上げているのでは?と感じました。

では、マイホームの値段を下げて、寿命を延ばしたら、
どうなるのでしょう?
マイホーム建設に関わる仕事の人は、辛くなるかも。
でも、過去にも、なくなってしまった仕事は沢山あります。
たとえば、僕の故郷では、石炭を掘る仕事がなくなりました。
でも、関わっていた人たちは、全滅せずに、
違う仕事についていきました。

マイホームの値段が下がったら、自動的に、借家の家賃も下がるかも。でも、借家の寿命が延びたら、借家の建築費の回収も長期分割できるから、支払いも減るかも。

植松電機は、壊れにくいマグネットで商売しています。
壊れにくいから、買い替え需要はほとんどありません。
でも、壊れにくいから、お客さんは買ってくれます。
(壊れにくいせいか、中古市場にもほとんど出回っていません。)
でも、行き渡ったらおしまいです。
でも、寿命を短くしようとは思わないです。
次のことを考えたほうがいいと思っています。

植松電機は、昔は、自動車電装品の修理業をしていました。
自動車のエンジン始動用のセルモーターや、
バッテリー充電用のオルタネーターなどの修理です。
いずれも、回転機械です。中に高速で回転する部品が入っています。高速回転は、バランスがとても重要です。
だから、植松電機では、回転部品のフレ取りを百分の一ミリまで抑えて加工しました。
その結果、もともとより寿命が延びるケースが多かったです。
だから、中古・廃車部品のリサイクルでも、
植松電機の整備済みのハンコが押してあるパーツは、
安心して使えたと聞いたことがあります。
でも、部品を修理する仕事は、中古・廃車部品と丸ごと交換するビジネスによって、消えて行きました。
でも、植松電機は、電装品修理の技術を活かして、
リサイクル用のマグネットを作るようになって、
現在も成長しています。

だから僕は、意図的に寿命を短くすることで買い替え需要を強制的に生み出さなくても、仕事をし続けることはできるだろうと思っています。
その方が、社会負担が少ないと思っています。

だからいま、僕は、独自に、
建設コストを抑えつつ、長寿命の家の研究をしています。
それが実用化されたら、家の解体という作業が減るから、
植松電機のマグネットも売れなくなると思います。
でも、それが正解であるなら、誰かがやります。
座して死を待つくらいなら、自分からやったほうがいいです。
これも、自分の会社の潰し方を考えた結果、導き出された方針です。

今の日本の経済は、
平たい器に入った液体のようです。
液体が蒸発して、水深が浅くなってきたから、
器を傾けて、深いところを作ります。
でも、その反対側には、水がないところができてしまいます。
これが、勝ち組と、負け組、なのかな、と思います。
勝ち組を生み出すためには、負け組が必要です。
それは、すでにこの世に存在するお金の分布を変えているだけです。それは、ギャンブルと似ています。
でも、いつか水は、全部なくなると思います。

だからこそ、新しい価値を生み出す必要があると思います。
世の中の、困ったこと、悲しいこと、不便なことを解決する努力は、新しい価値です。
世の中には、困ったこと、悲しいこと、不便なことが、いっぱいあるじゃないですか。
それを、解決しようとすれば、新しい仕事が生まれます。

食っていくためにはしょうがない、と、目をつぶってしていることが、自分自身の首を絞めている可能性があります。
そこから抜け出す努力が、新しい経済システムを生み出す可能性があると僕は思っています。
でももちろん、全てがいきなり、そんな大変化できないです。
だからこそ、こっそりと、こそこそと、
新しい経済システムを試していこうと思っています。

なにせ、はじめてやることは、うまくいかないからね。
でも、やってみなくちゃわからない。
これは、僕の、大科学実験です。