植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

「〇〇しか」がダメだからと禁止すると、結局「〇〇しか」になる。

僕は、子ども達に
「好きなことは、がんばれる。おぼえちゃう。好きなことが沢山あると、みんなは光り輝くよ。」と話します。

でも、先生の中には、渋い顔の人が少なくないです。

そういう先生は、「好きなことしかやらなかったら、社会で通用しない人間になってしまう。成績が悪い子は、好きなことなんて許すべきじゃない。まずは成績第一だ。」とおっしゃいます。

たしかに、僕もそう言われました。
「おまえは成績悪いんだから、そんな好きなことなんてやってる場合じゃないぞ!」

先生の言い方だと、
「好きなこと」は、それが出来るような余裕ができてからするべきだ。
だから、好きなことは、志望校に合格してからやりなさい。
それまでは、好きなことなんて、害悪だ。
という感じでした。

でも、その理論だと、次のステップは、老後になるんじゃない?
まずは、生活するのに精一杯がんばるべきで、「好きなこと」は、定年退職後にやりなさい。
このパターンで、必死になって働き続けて、定年退職後に好きなことを探してみたけど、ぜんぜん見つからない。という人を、ずいぶん見てるけどなあ。

僕は子ども達に、「夢は一つじゃない。夢は沢山あった方がいい。」と話します。
夢が一つだと、それがうまくいかなかったとき、絶望するかもしれません。
野球に全力を傾けてきたけど、結局、プロになれませんでした。とか。
費やしてきたものの重さで、心がおかしくなってしまう人も少なくないです。
だから僕は「〇〇しか」は、とても危険だよ、と子ども達に話しています。

僕は、好きなことは沢山あった方がいいと思ってます。
夢も沢山あった方がいいと思っています。
それらは、学びや努力に直結するからです。
やってるうちに、知らない間に力になります。

だのに、なんで、みんなして、「〇〇しか」という思考に陥りやすいんだろう。
「好きなことしか」やらなかったら、成績で考えたらマイナスの面もあるかもしれないけど、
「好きなこと」が無かったら、自発的な学びは身につかないです。
嫌々やらされる勉強は、パターン認識の繰り返し動作にしかならず、思考力が育つ可能性が低いです。

「好きなことしか」やらないとまずいから、「好きなことは禁止」して、「勉強しか」「スポーツしか」しないようにしてしまうと、思考しない人になる可能性があります。

僕は、学校の勉強が好きになれませんでした。
でも、好きなことを調べたり考えたり試したりした結果、
僕は思考力を得ることが出来たような気がします。
もしも僕が、「おまえは成績悪いんだから、好きなことなんて禁止だ!」という指示に従っていたら、僕は、自分の成績で行ける範囲から未来を選ぶでしょう。高い目標に向かう努力なんてしなくなります。だから、間違いなく進学しないし、名古屋で飛行機の仕事もしないし、会社も作りません。
僕はきっと、家の手伝いをして、父さんとうまくいかなくて飛び出して、思考力を必要としない仕事ばかりして、でもそれだと、年齢が上がっても給料も増えず(なにせ、能力が増えない)、家庭も持てず、定職にも就けなかった可能性があります。
今の僕があるのは、間違いなく、沢山あった好きなことを、やめなかったからです。

好きなことしか。
勉強しか。
スポーツしか。
仕事しか。
は、危険です。
一つに依存すると、その一つがダメなときに、簡単に滅びます。

だから、好きなことは沢山あった方がいいのです。
仕事も、沢山やったほうがいいのです。
(この場合の仕事には、社会活動などの、人の役に立つことが含まれますよ。雇用契約を沢山結べという意味ではないです。)

だから僕は、忙しいけれど、楽しい人生を送れていると思います。