植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

生まれたときは「奇跡」で「特別」だったのに、なぜか「普通」にしたがる親がいる。

今回、高校生に作ってもらったのは、
もともとは、外国の方向けに開発したペーパークラフトのロケットです。

150g程度のペイロードを、50m〜100mほど打ち上げる事が出来るロケットです。

特徴は、紙で出来てること。
胴体もはねも、すべて同じケント紙で作れます。
とても安いし、とても軽い上に、バランスよく設計しているので、
パラシュートなしでも、すごくゆっくり落下してきます。
(真横になって、ゆっくり落ちてきます。)

当然、説明書も外国の方向けなので、すべて英語で・・・
じゃないです。
すべて、イラストで示してあります。
もちろん、記号として、英語は使っていますが、
それ以外は、言葉を使っていないです。
すべて、アイソメトリックの絵で示しています。

昨日の高校生達は、その説明書を見ながら、
記号の意味を考えながら、みんなで助け合って、
ロケットを完成させました。

昨年は、モンゴルや、エジプト、ベトナムの方も作りました。
全部見事に飛びました。

このロケットを開発したのは、
海外の方々が、自国に戻ってから、これを教育教材として活用できるようにです。
従来の、ボイド管を胴体に使い、バルサで尾翼を作り、ノーズコーンはスタイロフォームを削り出し・・・という方法だと、
機体重量は、このペパクラロケットの5倍ほどになります。
当然、使用するロケットエンジンも、強力なものでなければいけません。当然高価になるし、入手性も低下します。
また、使用する材料も、国によっては手に入らないし、
できあがったロケットを持ち帰られない国もあります。
だからこそ、pdfファイルで持ち運べる、印刷するだけでオッケーのロケットが必要だと思いました。

子ども達にロケットを作ってもらっておもしろいのは、
男子も女子も、同じようにがんばることです。
むしろ、女子のロケットは、丁寧だし、デザインがきれいです。
男子のは、飛ばしたい気持ちが先に立つのか、早くできるけど、雑だったりします。

僕は、もっと女性が、開発や設計の仕事をしてもいいと思っています。そういう適性を持ってる女の子は沢山います。
でも、そういう子達は、中学生や高校生になると、
保護者に言われてしまいます。
「あなたは、普通でいいから。普通の学校に行って、普通の会社に行って、普通に結婚して、はやく孫の顔を見せてよ。」

でも、子ども達は知ってます。もう、「普通」では、選ばれない事を。

どんな商品も「普通」だと、選びようがないのです。
「どれでも同じでしょ?じゃあ、安いのでいいわ。」です。
人間も同じ扱いをされます。
「普通」だと、交換可能な労働力としか見てもらえません。
だから、どんどん安売りしないと、選ばれません。

その状況を打開するには、「特別」になればいいです。
それは、別に「特別」なことではありません。
ほかの人がしない経験をするのです。ほかの人ができない事をやるのです。
もちろん、ほかの人が持たない資格を持つ、というのも効果的かも。誰もが持ってる資格では、優位性にはなりませんから。
そして、そのうえで、「特別」なことの価値を大切にする会社を探すことです。
そういう会社を探すこつは、「大量生産しない」ことかも。
うわ。普通の選び方と真逆になりますね。大企業を選ばないって事になっちゃいます。

ま、これは、「こういうのもありだよ。」という一つの選択肢だ程度に思っていただければと思います。
でも、大企業で働いていらっしゃる方々の中には、迫り来る大きな変化の可能性をひしひしと感じている人も、少なくないです。

過去にも何度も書いていますが、
ロボットは日々進化していて、
素直でまじめ、な作業は、もはやロボットのものです。
また、食品に毒物を混入した作業者がいたおかげで、
製品の安全性を守るために、製造工程から人間をいなくする方向にむかっている会社も増えています。
これからは、「言われたことを言われたとおりにする」だけでは、ロボットに軽く負けてしまいます。
「普通」では、ロボットに負けます。
だから、「特別」も大切だと思います。

先日、森三中の大島さんが、お子さんを出産されたそうです。
旦那さんは、その様子を「奇跡」とよびました。
きっと、多くの人が、愛する我が子が誕生したとき、
その「奇跡」に感動したと思います。
そして、その子は、自分の元に生まれてくれた「特別」な存在だったはずです。
だのに、いつの間にか、「普通」になっちゃった?

昔、人口が増加して、マーケットが拡大し続けていた時代は、
ニーズが増えてるから、供給も増えないといけないから、同じ仕事がどんどん増えても大丈夫でした。
その頃は、「のれんわけ」はオッケーでした。
「普通」でも、「言われたことを、言われたとおりにやる」でもオッケーでした。
おまけに、ロボットも性能が低く高価だったから、普及していませんでした。

でも、いまは、人口が減っています。マーケットが縮小しています。おまけに、ロボットは高性能になり、安価になりました。
そこでは、ほかの人と同じ事やったら、安売り合戦です。
当然、のれんわけなんて、もってのほかです。

よかれとおもって「普通でいい」ということは、
子どもにとっては、つらいことかもしれません。
だって、「普通」の根拠が不明確だから、どうしていいかわかりません。とりあえず、右をみて、左を見て、みんなと同じ事をするしか無くなってしまいます。
それでは、個人の思考も、個性も、育たない可能性があります。
そして、ロボットに負けます。

だから、子ども達の「特別」を大切に考えた方がいいと思います。
子どもの未来を、自分の知ってる範囲の過去の常識や普通でジャッジせずに、真剣に考えることがとても大事です。
だから本当は、保護者も最新情報を学ぶべきです。
子どもの進路に悩む保護者向けの進路塾ってのが、
あったらいいんじゃないかなあ、と思います。
(うーん。でも、そういうところに来る人は、学びたい人たちだからなあ。ほっといてもきっと大丈夫なんだよなあ。来ない人にこそ、学んでほしいんだけど。一度野に放たれてしまった社会人に情報を伝える仕組みは、無いかもね。だって、新聞読まないし、本読まないし、テレビ見ないし、ラジオ聞かないし・・・。
だから、全国民が一斉に学ぶ仕組みは、唯一、義務教育だと、僕は思っています。義務教育を、もっとうまく活用した方がいいと思うけどなあ。)