植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

先に生まれちゃった、ではなく、先に生きて支えよう。(強行威力偵察隊)

この二つは、ペーパークラフトです。

一つは、全長80センチほどの大きくて精密な船のペーパークラフト。「みかさ」です。
「アッカーマン」じゃないよ。
横須賀にある、戦艦三笠です。

もう一つは、東北新幹線の先頭車両です。

じつは、いずれも、小学生向けの雑誌の付録です。
でも、三笠は、昭和7年の雑誌の付録です。
今から、83年前のものです。
そして、東北新幹線は、現在の雑誌の付録です。

同じ小学生対象にして、この違いは、なぜ生まれるのか?

それは、大人の勝手な手加減かも。

「子どもだから、どーせ失敗する。できるわけない。」
という思考が、80年かけて、僕らの能力をものすごく奪っている可能性があります。

いやいや、大人は大丈夫だよ。
なんて思わないように。
だって、いまや、最新の研究で、ピラミッドも、モアイも、マチュピチュも、人間が作ったらしいことが明らかになっています。
アポロは、手回し計算機と計算尺で月まで人を運びました。
果たして、僕らは、どうでしょう。

僕らは、子どもたちにロケットを作ってもらいます。
でも、作り方は教えません。
でも、そのぶん、毎年、説明書を改訂します。
子どもたちが、自分たちの読解力でロケットを完成できるように、子どもたちの失敗を元に、説明書を直すのです。
僕はそれを、過保護とは思いません。
教育として、すべきことだと思っています。

「できない」ことを、責めるのではなく、
「できない」から、やらせない、のではなく、
「できない」から、手加減するのではなく、
「できるよう支える」ことが大事だと思います。

社会は、今日も変化しています。
歴史は今日も増えています。
だから、教育も、変化すべきです。

社会で必要なことなんて、痛い目にあって、自分で経験して身につけるもんだ!なんて意見も、とてもよく耳にします。
本当の痛い目にあっていない人の意見だと思います。
だって、本当に痛い目にあった人は、生きていないです。

僕らが、教育の価値を否定してしまったら、
僕らは、おそらく、生まれて間もなく死にます。
病気や、怪我を治すこともできません。
そして、せいぜい、打製石器くらいを作ったあたりで、
寿命を迎えるでしょう。

教育は、次世代を、自分たちを踏み越えた未来に押し出すために大切なものだと思います。
自分のできることを子どもに押し付けて、「なんでこんなこともできないだ!」と怒鳴り散らすだけだったり、
自分のできないことを子どもに押し付けて、「どーせそんなことやっても無理だよ。」と教えたりする人ばかりならば、
人類の文明や社会は、どんどん悪化するかもしれません。

大人は、先に生まれちゃっただけの人ではありません。
先に生きて、子どもたちを支える存在であるべきだと思います。
僕は、そうある努力をします。

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