植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

これからは、人間の個性と成長が重要です。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、
ほめてやらねば、人は動かじ。
 
これは、山本五十六(いそろく)さんの、有名な言葉です。
 
でも、実際には、これだけでは、不十分だと感じてる人も少なくないと思います。
 
なぜなら、
やってみせても、みていない。
言って聞かせても、聞いていない。
させたら、できない。
ほめたら、増長する。
という人も少なくないからです。
 
いい言葉通りにしてるのに、全然育ってくれない!
と、腹がたつ人もいるかもしれません。
 
でもね、上記の言葉は「人を動かす」ための言葉です。
「育てる」ための言葉ではないのです。
 
実は、山本五十六さんの言葉には、まだ続きがあります。
 
話し合い、耳を傾け、承認し、
任せてやらねば、人は育たず。
 
さらに、
 
やっている、姿を感謝で見守って、
信頼せねば、人は実らず。
 
です。
 
人を育てたいのならば、
話し合うのです。
それも、一方的な説教ではなく、相手の言い分を聞くのです。
そして、それを受け入れるのです。
その上で、相手ができるように、やりたいようにさせるのです。
 
そして、それを感謝で見守り、信頼し、万が一の時は自分が助ける準備をしておくのです。
そうしたら、人は育ち、実るのかもしれません。
 
これからの時代(もうとっくにそうなってますけど)は、
単純作業はロボットがやってしまいます。
他の人ができることをやっていたら、値段で選ばれます。
そして、同じことをするなら、人件費が安い国に勝てません。
この時代には、「他の人と違うこと」が重要です。
そこでは、人間の持っている「個性」「イレギュラー性」が重要になっています。
 
画一的な、標準的な、普通の人たちに、
誰でもできる仕事を、格安でやらせる。
そこでは、スキルの蓄積なんて必要ない。
言われたことを言われた通りにやればいいだけ。
だから、新しい人を、どんどん入れ替えながら働かせる。
という仕事は、「安さ」勝負しかできない仕事です。
それは、どんどん、加速します。
この仕事の行き着く先は、「ロボットがやる」か「人件費が安い国でやる」でしかないです。
 
僕は、生まれて初めて会社を経営してみて、
人間は成長することを理解しました。
だから、人と関わった時間は財産です。
一緒に仕事をし、経験を積んだ人を失うのは、とてつもなくもったいないことです。
だから植松電機では、アルバイトも、派遣もつかっていません。
できるだけ一緒に仕事をして、経験を積み重ねてほしいです。
その時、山本五十六さんの言葉は、やっぱり有効です。
 
しかし、有効じゃない場合もあります。
それは、相手が、「よりよくを求めない人」の場合です。
そういう人は、成長する気がありません。
指示されたことを、指示された通りにやればいい、どころか、
できるだけ、楽をしようと考えます。
こういう人は
「そこまでする必要あんの?」
「余計なことをしたら損をする。」
という言葉を使いますので、判別は比較的容易です。
こういう人が、「よりよくを求める」場所で働くと、
お互いに不幸になります。
 
楽をしてお金を儲けることを、美徳のように考える人は少なくないです。
努力したり、頑張ったり、必死になったり、一生懸命になったりすることを、「かっこわるい」「よーやるわ」と思ってしまう人たちかもしれません。
でも、そういう人たちは、これからの時代、よい仕事をするのは困難だと思います。
 
残念ながら、中学校や高校で、これを学んでしまう人は少なくないです。
これを教える大人がいます。
余計なことをしたら損をする、を実践している職場で働いている大人は、それをこどもたちに教えてしまうのも、やむを得ないのだと思います。
(だって、その職場では、きっと本当に、余計なことをしたら損をするのでしょうから。)
 
だから、そうじゃないことを教える大人が増えたらいいと思います。
がんばること。努力すること。必死になること。一生懸命にやること。それが、かっこいいじゃん!という価値観を示せる大人が増えたら、いい仕事ができる人が増えるかもしれないと思います。
 
僕は幸いなことに、そういう大人をたくさん知っていました。
伝記のなかに、山ほど登場してきます。
苦労をして、努力をした先に、嬉しいことが待ってるよ、と教えてくれた大人と、たくさんかかわれました。
だから僕は、「余計なことしたら損をする」に負けないで済んだのだと思います。
 
人口がどんどん増えて、平均寿命もどんどん伸びた時代。
マーケットがどんどん大きくなっていた時代には、
同じことを繰り返すだけでも成り立ったし、
他の人と同じことをしていても成り立ったし、
楽をしてお金を儲けることも容易だったと思います。
 
しかし、
人口がどんどん減って、平均寿命も頭打ちなこれからは、
マーケットがどんどん小さくなります。
だから、人間一人一人の個性と思考と、成長が重要です。
そして、「がんばること」がかっこいい、と思える人たちが大事です。
 
一人一人の個性と思考を尊重し、
成長の可能性を信じさせ、
努力は報われることを信じさせる教育が、
いまこそ、本当に必要なのだと、僕は心から思います。
 
画一的で、余計なこと考えないで暗記しろ!方式で、
偏差値や成績で人生が決まってしまうと思い込ませる教育は、
これからの時代に、正反対な教育だと思います。