植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

ゾンビと文明崩壊

僕が子どもの頃に、怖い映画が流行りました。
でも、僕は、映画館には行ってはいけない、と言われていたので、
行けませんでした。
(お祭りの屋台などで買い食いしてはいけない、とか、電車のつり革にはばい菌がついてるとか・・・)
(たしかに、映画館に関しては、アウトブレイクという映画を見て、怖くなりました。)
 
中学生になって、やっと、映画に行けるようになりました。
一番最初に見たのは、ファイナルカウントダウンだったか、スーパーマンだったか、です。
 
でも、一番強烈だったのは、ジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」でした。
 
その後、おそらく一ヶ月くらいは、寝入ることが困難なほどでした。
ゾンビが歩いていたらどうしようとか、
家族がゾンビになったらどうしようとか、
さんざん考えて、ゾンビをやっつける機械とかもかなり考えました。
(おそらく、最強なのは、北海道で活躍するロータリー除雪車かも。)
 
その恐怖が一段落したら、そのあとは、ゾンビ映画は、ほぼコンプリートなくらいに見てしまっています。
もちろん、恐怖に震え上がりながら。
 
僕は、13日の金曜日とか、一般的なホラーやスプラッターは苦手です。
でも、ゾンビだけは、ついつい見てしまいます。
 
たいていのゾンビ作品にも共通している、「実は、人間が怖いよね」という
のも、他のホラーとは違う感じで好きかも。
 
ゾンビ作品では、文明崩壊後の世界が描かれる事が多いからか、
僕は、今の人間社会や文明のありがたみを、すごく感じます。
 
以前、ゾンビではないのですが、文明が崩壊した世界を描いた映画を見ていたら、最後の方で、がんばって家族を守り、良い社会を作った主人公が、野良仕事の時に、手を怪我しただけで、破傷風で死んでしまう、というシーンがありました。
そうか、薬が無いと、こんなわずかな怪我でも死んでしまうこともあるのか、と、強く感じました。
 
僕が、科学の発展を擁護するのは、ゾンビ映画の影響かもしれません。
 
ゾンビと言えば、いまは、ウォーキング・デッドかな。
これが、テレビドラマだというのが、信じがたいです。
日本でつくったらどうなるかな・・・。
 
ゾンビ映画は、基本的には見なくていいと思います。
あまりにも残酷だし、気持ち悪いし、悲しいし。
でも、ゾンビ映画を通して、作者が伝えたいこともあるわけで、
僕は、その一部の影響を受けてしまったのだと思います。
 
以前、リーマンショックの時に、僕はさすがに落ち込みました。
なにせ売り上げが平均の半分にまで落ちてしまい、
月々の支払いにも困窮するようになりました。
そのとき、僕の父さんは、
「もうだめだな。」と言いました。
なんて事言うの!と思ったら、
「このままだと、燃料が手に入らなくなって、トラックが走らなくなる。そうしたら、材料も来ないし、製品の出荷もできないから、会社はつぶれる。でも、まわりもみんなつぶれてるから大丈夫。」と言うのです。
そして、
「でも、うちには、シャフトがある。ベアリングがある。コイルもある。バッテリーもある。だから、発電機が作れる。そうしたら、溶接ができる。そうしたら、農機具が作れる。だから大丈夫。」と言われました。
さすが、戦争で何もかも無くし、古里を追われ、まったくの新天地で、ゼロから会社作った(物理的に、建築までやったそうです。)人の考える最悪自体は、文明崩壊レベルです。
 
でも、そう考えたら、一気に気持ちが楽になりました。
 
だから、今も、ゾンビ作品を見るたびに、
文明が崩壊したら、自分はどうやって文明を作るのかなあ、と考えます。
まあ、それが役に立つ日が来ない方がいいけどね。
でも、わからんからなあ。
いや、でも、ゾンビはいやです。ゾンビの世界だけは来ないで欲しい。