植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

ロボットに負けないために。

ロボットや人工知能の性能がどんどん良くなっています。
真っ先に人間が不要になるのは、単純な繰り返し作業です。
なんたって、機械は休憩を必要としません。

次に人間が不要になるのは、判断です。
過去の事例から、類似例を検索して、最適解とを導き出すことは、
過去の事例の情報量と正確さが勝負です。
機械は、おぼえたことを忘れないです。

あと10年のうちには、現在の仕事の約半分は、人間が不要になるという調査結果もあります。

僕は、地域をよくするための会議や検討会に参加します。
でも、ほとんどの人が、この、間違いなくやってくる未来から
目をそらしているように思えます。

いやな未来は見たくないです。
どうしていいかわからない問題を考えてもしょうがない、と思うのかもしれません。

でも、どうしていいかわからない、を放置すると、たいていの場合、結果は良くない方向に行きます。
どうしていいかわからない、ではなく、どうすべきかを考えるのです。
そのためにも、最悪の未来を見つめて、予測すべきです。

ちなみに、人工知能が相当困難なのは、「予測」だそうです。
「予測」できるまでには、5回くらいの技術的ブレイクスルーが必要だそうです。(これは、けっこう遠い未来です。)

だから、嫌な未来から目を背けてたり、どうしていいかわからない、を放置している人達は、ロボットに負ける可能性がとても高いことになるかもしれません。

ロボットにはできない事は他にもあります。
「考える」も難しいです。
この場合の「考える」は、「思う」に近いかもしれません。
たとえば、技術の発達が戦争に利用されることについて、
「技術は悪くない。技術を使う人間が、技術をどう使うのかを決めるのだ。」という、ごくあたりまえの答えしか出せない人もいます。
でも、それは、1+1=2を暗記しているのと変わらないです。
大事なのは、「自分はどう思うのか?」です。
過去の情報から判断しかしないロボットには、「自分はどう思うのか?」を持つことは難しいと言われています。

「価値を生み出す」のも難しいです。
なぜなら、過去情報で判断している限り、過去情報で価値がある、と言われていることにしか、価値を見いだせないからです。
「これは、価値があるよ。価値はこのあともっと上がるよ。だから、これを買っておけば、後から売れば儲かるよ。」という情報は理解できますが、新しい価値を生み出すことは、難しいです。

嫌な未来から目を背け、
誰かの意見を鵜呑みにするだけで、自分の「思い」を持たず、
他者が評価する価値しか価値と思えない、
という人は、かなり早い段階で、ロボットに負けると思います。

僕はいま、会社に、自動機械を増やす努力をしています。
なぜなら、せっかく、1/1000の精度を平然と出せる機械を人間が作ってくれたのです。
しかもそれは、コンピューターで設計したら、夜中を使って加工してくれるのです。
熟練した技能を身につけていなくても、高精度なものが作れます。
機械があっさりできることを、長い時間かけて身につけたら、機械に負けてしまいます。

僕は、僕の会社の人達のアイデアを、短時間で形にできる方がいいと考えています。
トライアンドエラーの回数を増やすためです。

もちろん、技能の大事さを知っています。だから、個々人が勝手に技能向上したらいいと思っています。それはおそらく、趣味です。
だから僕は、趣味は不可欠なものだと思っています。

社会は、自動化のおかげで便利になっています。
でも、自動化のおかげで、人間が不要になる仕事も増えています。
だからこそ僕たちは、機械に負けない人間になるといいです。
機械は努力しています。(機械を作る人達がね)
だから、人間も、努力しないと、「差」をつけられて、負けてしまいます。

嫌な未来を見つめ、どうするのかを考え、
様々な情報を、「なぜ?」と「ほんとかな?」と調べると、
自動的に、自分自身の思考を持つことができると思います。

「どーせわかんねー」「どーせなんともならないよ」
「どーせ無理」は、ロボットに負ける人生に直結する可能性が高いです。

「だったらこうしてみたら」で、ロボットに負けない人が増えたらいいなと思います。