植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

ゆとりでも、詰め込みでもいいから、思考力を育てて欲しい。

すこしまえ、「ゆとり教育」というものがありました。
そして、それが「だめ」だったので、
いまは、「学力重視」の「詰め込み教育」に戻っています。
と、思ってる人はすくなくないと思います。
ゆとり世代」が、ダメ人間のように言われたりもします。
 
でも、ほんとですかね。
 
僕のまわりにも、「ゆとり世代」はいますが、
とくに問題は感じないです。
「ゆとり」がダメだった、と言うのは、
ゆとり世代」と関わっていない人達の方が多いように感じます。
 
ちなみに、僕は、ゆとり教育は、とても良かったと思っています。
しかし、良くなかったケースも沢山知っています。
 
ゆとり教育は、先生の自由裁量の時間が多かったです。
その自由な時間を、うまく使いこなした先生の教育はとても良い物になりました。
しかし、自由な時間を、どうつかっていいのかわからない先生もたくさんいたのです。
その場合、ただの時間つぶしや、誰かに子ども達を預けて終了、というような授業が沢山行われていました。
 
僕は、常々、思考力が大切だと思っています。
そして、その思考力とは、「与えられた課題の空欄を、選択肢から選ぶ」方式では身につかないと思っています。
でも、すでに、その教育の影響を強くを受けてしまって、思考力を無くした人が先生になっている場合、その先生は、思考力を子ども達には教えられないです。
 
小学校で行われる、「調べ学習」は、とても良い教育だと思います。
同じ事を、より高度にして、スーパーサイエンスハイスクールでもやっています。
それは、問題を解決する力になると思います。
しかし、残念ながら、スーパーサイエンスハイスクールの授業でさえ、高校3年生になると、受験勉強いマイナスになる、として、減らされてしまうケースがあります。
 
僕は、スーパーサイエンスハイスクールの運営に関わっています。
僕と同じように、大学の教授も沢山関わっています。
大学の教授は、スーパーサイエンスハイスクールの授業を、応援しています。そういう生徒が大学に来たら、より伸ばせる、と期待しています。
しかし、大学の教授が「よい」とするものを、
「大学受験のマイナスになる」としてしまう高校の先生がいます。
実際、大学受験の点数を増やすなら、予備校に行ってひたすら過去問題をやるのが一番効果的です。高校の授業でさえ非効率に思えます。
 
僕は、人間はかならず社会人になる、と思っています。
そして、社会人は、仕事をします。
そして、仕事とは、「安定していて、楽をして、高い給料もらえる事」ではないと思っています。仕事とは、人の役にたつことです。
 
人の役にたつためには、なにが必要でしょう。
喜ばせたり、笑わせたり、も大切です。
助けたり、支えたり、も大切です。
問題を解決する、のも大切です。
でも、いまの受験対策教育が、それらを育てているとは、ちょっと思えないです。
 
現在働いている人なら、自分の職場に来る同僚に、何を求めるか、考えてみたらいいです。
成績ですか?偏差値ですか?学歴ですか?
それより、もっと大事な物沢山ありますよね。
僕は、過去の知識量はどうでもいいと思っています。
これから、どんだけ吸収できるのか、のほうが重要です。
 
僕は、ゆとりだろうが、詰め込みだろうが、教育をいいとかわるいとか評論する気はまったくないです。
ただ、教育には、社会が求める社会人の資質を高める努力はして欲しいと思っています。
でも、社会が求める社会人の資質の一つである思考力は、「教える」では育たないので、
いま、教育は、大きな変換点に直面しているのだと思います。
これからは、思考力をいかに身につけさせるのか、にトライした教育産業が急激に伸びると思います。