植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

中学生は中二病にかかっておくべきだ。

今日は、音威子府の中学生が来てくれました。
 
みんな、朗らかで、優しくて、礼儀正しく、
そして、中二病な方々でした。
 
中二病という言葉は、
もともとは伊集院光さんがラジオの中で、
自分自身の中学生の頃の、
無理して背伸びしたりするなどの行動を、
まるで病気の症状のようだとして表現したものだったそうですが、
いつのまにやら、
身の丈にあわない夢を持ったり、考えたりすることを、
バカにするような言葉になってしまいました。
(いまは、たとえとして、身の丈にあわない夢、という言葉を使いましたが、僕は、そんなものは存在しない、と思っています。)
 
僕も、中学生の頃に、みんなが聖子ちゃんに夢中になってるのに、
シーナアンドロケッツやYMOに傾倒していました。
無理して、大人になったふりをしていたように思います。
また、散々空想しました。いろんなことを考えました。
モビルスーツが作れると信じました。
だから、足の関節や、手の関節の構造をすごく考えたし、図書館に行って、たくさんの本を読みました。
スペースコロニーを作るための、ラグランジュポイントについても調べたし、学んだし、スペースコロニーの構造物をいかにして宇宙で作るのかという工法についても、たくさん考えました。
(またちょうど、タイミングよく、メカニクスマガジンという、とっても素晴らしい雑誌も出版されていました。)
 
それらの学びは、もちろん、学校の勉強や成績には、
全く関係ありませんでした。だから、否定され、バカにされ、
できもしないことを言うな、夢みたいなことを言うな、と
さんざん言われます。
その頃に、中二病という言葉があったら、僕はきっと、
中二病トリアージで黒だったと思います。
 
でも、いま、その頃の知識はとても役に立っています。
ぜんぜん無駄ではなかったです。
もちろん、まだモビルスーツスペースコロニーは作れていません。
でも、そのために学んだことが、仕事にも十分に生きています。
 
僕は、中学生という時代は、想像力が急成長し、同時に、自己という概念も急成長する時代だと思います。
その時代に、それらを制限してしまうと、想像力に乏しい、自己の認識も、他人の認識も不十分な人になりかねないと思います。
 
想像力に乏しいのは、とても恐ろしいです。
例えば、飲酒運転。
飲酒運転したら、どうなる可能性があるのか、を考えたら、
普通なら、恐ろしくて飲酒運転はできません。
でも、想像力のない人は、「なう」しか理解しないから、
酔っ払ってハンドルを握れるのだと思います。
同じように、
人を刺したらどうなるのか?が想像できない人は、人を刺せるのだと思います。
 
僕は、中二病は、中学生時代に罹患しておかないといけないような気がします。
中学生時代に、現実を見ろ!と言われて、身の丈にあった夢しか許されなくなった人たちは、想像力を失うかもしれません。
でもね、中学生の身の丈って、わずかなことしかできないですよ。
だから、実は、身の丈にあった夢、というのは、自分の将来の成長の可能性さえも諦めさせる最悪の言葉です。
 
届かぬものに手を伸ばした時、人は成長します。
そして、それが社会を成長させます。
だから、届かぬものに手を伸ばす練習として、
中学生は中二病にかかっておくべきだと思います。
 
今日来てくれた子たちは、みんな、趣味や、大好きなものがたくさんありました。好きなことについてなら、たくさん語れて、目が輝く人たちです。
そういう人は、ともすると、「おたく」とか「まにあ」と言われてバカにされるかもしれません。「中二病!」と悪い意味で言われるかもしれません。
でもね、そういうことをいう人たちは、夢をあきらめさせられた人たちです。そういう人たちが、輝くみんなを羨んで、嫉妬して、悪く言ってるだけです。
そんな、羨みや嫉妬に負けないで、好きなものをどんどん好きになってほしいです。
 
大人っぽくなる必要なんてないです。
TPOが守れる子どもっぽい人間の方が、光り輝きます。