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植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

大規模火災に対応する消防車・・・

以前、北海道で、石油コンビナートのタンクが燃えたことがありました。
たしか、燃え尽きるまで消せなかったはずです。
 
東京で、タンクローリーが横転して燃えたときも、燃え尽きるまで燃えたと聞きました。(道路が熱で歪むほど)
 
今回、大きな倉庫が燃えていますが、これも、うまく消せていないです。
 
これは、やむを得ないと思います。
 
大きな火災には、それに見合うだけの消火が必要です。
その基準は、単位時間あたりの投入量だと思います。
そして、それは、ポンプの出力に影響を受けます。
そして、ポンプを駆動するのは、ほとんどの場合、消防車の走行用エンジンです。
そして、消防車は基本的に道路を走ります。そのため、その大きさや構造は道路の制限を受けます。
日本の道路等の制限を限度まで使い切るのは、戦車かなと思います。
戦車は、おおよそ50トン。出力は1000馬力から1500馬力が世界の趨勢です。
ここから考えられるのは、消防車の限界もそのあたりだろうということです。
 
実際、空港などで活躍する大型消防車は、重量43トン、出力900馬力くらいのようです。
でもこれは、本当に限度一杯なので、
一般的な道路で運用する場合は、25トン程度が限度かと思います。
消防車はトラックがベースなので、300馬力から400馬力くらいだと推測されます。
 
ここから、道路上を走行できる消防車の能力の限界は、自ずと決定されてしまうことになります。
 
エンジンでポンプを駆動してホースで水を送る、という場合に考えられる物理的な制限は、ざっくり以下のことが考えられます。
 
単位面積あたりの単位時間あたりの投入水量をあげようと思ったら、
 
(1)小さいけどパワフルなエンジン
ディーゼルエンジンよりも小型でハイパワーなエンジンが必要。
そのパワーを受け止めるポンプも必要。
 
(2)水の輸送損失の低減
水にエネルギーを与えると、そのエネルギーは速度と圧力です。速度を上げると、その二乗で距離損失が増えます。
圧力を上げると、ホースの耐圧をあげなければいけないから、ホースが重く高価になります。
 
(3)水の利用の効率アップ
かけ流す方式では、ほとんどが流れ出てしまい、温度を奪う作業の効率が低いそうです。
 
が重要です。
 
(3)に関しては、インパルスという方式があります。
霧状の水を爆発的に噴射して、一気に温度を下げる方法です。
しかし、到達距離があまりにも短すぎるのが難点です。
 
(2)に関しては、なるべくポンプと火元の距離を近くするのが効果的です。
 
(1)に関しては、往復エンジンではなく、ジェットエンジンロケットエンジンだと、大きさあたりのパワーは桁違いです。
 
となると、
ジェットエンジンロケットエンジンを利用した、インパルスのような霧化式消防装置を、なるべく火元に近接させる。
ような運用が効果的かもしれません。
 
一番いいのは、そういう高出力消火設備を、あらかじめ火元になりそうな場所に設置しておく(超強力なスプリンクラー)かなと思いますが、それは、発生頻度とコストを天秤にかけると、成り立ちにくい感じがします。(でも、今回の反省から、スプリンクラーの能力強化が求められるかもしれませんね。)(北海道のタンクの火災の後は、上限一杯くらいのかなり強力な消防車も作られています。ただし、一般道路で使用するのはむずかしそう。)
 
ただおそらく、今回の倉庫の火災で、
あちこちにある大規模な同種の倉庫を保有する人達は焦ってるかも。
働いている人が人為的に火をつける可能性を考えたら、それは、どこででも起こりえる事になってしまいます。
(ますます人間を使わない方向に・・・)
 
 
実は、ロケットエンジンを利用した強力なポンプが作れないかと思っているのですが、通常の打ち上げ用ロケットエンジンでは排気速度が速すぎて、水と相性があんまりよくないです。
ジェットエンジンくらいの排気速度がいいんだけど、ジェットエンジンの欠点は、大量の空気を吸うことです。
ジェットエンジンは、往復エンジンのだいたい10倍くらいのパワーです。(大きさあたりのパワー)
ロケットエンジンは、ジェットエンジンの、だいたい10倍くらいのパワーです。
だから、大きさあたりのパワーでは、ロケットエンジンはかなり優秀です。
排気速度を押さえたロケットエンジンを利用した、エジェクター式(排気ガスの速度を利用して負圧を作り出す方式)のポンプがいいかもな、と思っています。
 
世の中の、困ったことや、不便なことや、悲しいことを、
「自分ならどうするかな」と考えることで、新しい仕事が生まれる可能性があります。
 
「うわー、ひでー。」「うわー。かわいそー。」
で終わらずに、「なんでかな?」を考えると、きっと、それは、
いろんな興味と関心のスイッチを入れます。
 
おそらく、今回のこの記事で、消防車の馬力とかに興味がわいた人もいるかも。
本屋に行ったら、消防車の本とか売ってますよ。
しらべてみたら、おもしろいかもしれないです。