植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

チンピラ先生

僕は、年間に100校ぐらいの学校に講演に行きます。
そこで、ときどき出会ってしまう現象があります。
 
それは、チンピラ先生です。
 
「おるぁー!なにもたもたしとんじゃあああああ!」
 
ポケットに手を突っ込んで、巻き舌で怒鳴って、肩を揺らして威張る様子は、
もはや町中でもなかなか見かけない、昭和のチンピラです。
 
おそらく、いまの子達は「チンピラ」の意味がわからないかもしれません。
ゴボウとにんじんを炒めたものではないです。それはキンピラ。
「チンピラ」は、wikipediaにありますね。
 
でも、それをやってる先生にとっては、それは、恐怖だったのでしょう。
自分が恐怖を感じたからこそ、それを使うのだと思います。
その先生も、それをやられたのだと思います。
でもね、教育現場で、恐怖を生徒の行動の制御に使用するのは、文化的ではないです。
そして、言語による交渉をやめたチンピラスタイルでも、指示に従わない生徒がいたらどうするんだろ。その後は、暴力か脅迫しかないのだと思います。(なにせ先生は、生徒の進学の自由を握っていますから。)
 
生徒の問題行動は、シグナルです。
それを行うための原因が必ずあります。
それは、家庭の問題だったりもします。
それらを解決するために、様々な支援があります。
パワーで押さえつけるのではなく、
そういう支援組織と、そういう子をつなげることも可能です。
 
すごく成績がいいのに、心に問題を抱えている人もたまにいます。
そういう人は、なるべくはやい段階で、適切な支援を受けるべきです。
でも実際には、成績さえ普通であれば、たいていは学校を素通りです。
そのまま、大学まで行って、そこで問題が表面化するケースも多いです。
 
そういう子に、関わっている「時間がない」というのが問題ならば、「時間を増やす」ように、交渉することは可能です。
1人で訴えても通じないなら、仲間を増やせばいいです。
そのために、PTAという組織もあるじゃないですか。
何年もかかるかもしれないけど、だからなにもしない、ではなく、やり続けることはだいじです。
 
少し昔の話になりますが、DJポリスという人がいました。
彼の「威張らない」「高圧的ではない」「命令しない」が、効果的であったことが実証されています。いまでは、各地の警察でDJポリスの養成が進んでいると聞きます。
だのに・・・なぜ・・・
 
そういう先生が叫んで恫喝してるとき。多くの先生が、嫌な顔をしています。
だけど、誰もその先生に「やりすぎだ」と言いません。
その様子は、いじめを横目で見ている人達とおなじです。
生徒は、それを見ています。真似します。
これでは、仮にいじめがあったとしたら、改善のしようがないでしょう。
 
もしかしたら、チンピラ先生の発生原因は、
問題行動のある生徒を「どうせ言っても聞かない」と思うことと、
チンピラ先生を「どうせ言っても聞かない」と思うことにあるかも。
「どうせ」という、やらないであきらめる行為が、原因かも。
 
チンピラ先生は、問題行動のある生徒をおとなしくさせるためには効果的でしょう。
でも、そのやり方を学んだ人は、会社につとめてからもそれをやるでしょう。
家庭でもそれをやるでしょう。
それが、ブラック企業やDVの元になっている可能性があります。
 
教育指導要領に、汚い言葉を使い、憎々しい表情をし、身体を揺すって恫喝する方法は、有効な指導方法、とでも書かれているのでしょうか?
こういう先生を野放しにしている学校は、ごく一部ですが、存在するのは事実です。
それとも、こういう先生を「おかしい」と思う僕がおかしいのでしょうか?
教育の現場では、「自分がおかしいのかな?」と思ってしまう現象に出会う確率が高いです。
 
子ども達に知ってほしいことがあります。
普通の会社では、チンピラ行為は交渉に役にたたないどころか、下手したら訴訟になります。
だから、そんな方法を決して真似しないでください。
真似をすると、君たちの品位が低下するだけですから。