植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

10年後、仕事の半分がなくなる、ということが不安な人へ

僕は、石炭を掘る町に生まれました。
だから、永久に続く仕事はない、ということを知りました。
どんな仕事も、寿命があります。

僕が高校生の時には、「日本語タイプライター」の資格がありました。難しい資格でした。
でも、まもなく、「ワープロ」の資格になりました。まだ、液晶が2行とか3行しか表示できない時代です。その資格も、結構大変な資格でした。
でも、ワープロって、いま見かけなくなりましたね。日本語タイプライターに至っては、博物館でしかみられないかも。
資格は、永久に仕事を保障するものではありません。

当時は、写真の30分プリント、が一気に成長した時代でした。
そこら中にDPEショップができて、1千万円ほどもする装置をどんどん導入していました。
でも、そのブームは、デジタルカメラと、インクジェットプリンターの普及によって、
ほんの15年ほどで急激に縮小していきました。

僕は、歴史が好きだから、歴史上、そんなことは沢山あったことを知っています。
そもそも、明治維新では、「侍」という、今で言う公務員が、仕事を失っています。
第二次世界大戦後にも、大きな価値観変化が起きています。

だから僕は、最近よく目にする、「10年後には今の仕事の60%がなくなる」というニュースを見ても、「まあ、そうだろうな。」としか思わないです。

でも、最近、意外なことに、かなり多くの人が、「なくなる仕事リスト」に自分が取得しようとしている資格や、なりたい職業を見つけて、絶望してることを知りました。
「せっかく資格を取っても、ムダになるんだ」と嘆いています。
でも、そう思う人に、だいたい共通しているのは、「まだ働いていない」です。
働いている人達は「まあ、そうだろうな。」と思ってる人が多いようです。
なぜなら、実際に働いてみたら、「資格」が自分の仕事を保障しないことも、
「就職」も自分の人生を保障しないことも、知ることができるからです。

残念ながら、学校で、「資格」や「就職」の価値を強調しすぎた場合、子ども達は、資格や就職に、過度に依存してしまうかもしれません。
そして、その反動で、資格や就職が価値を失ったとき、絶望するのかもしれません。

でも、実際には、資格さえあれば、どんな人間でも働けます、なんて職場は少ないです。
だいたい、資格があったって、その能力はピンキリです。だから、能力の高い人が優先的に雇用されます。

時々、有名芸能事務所に雇用されたら、有名タレントになれる、と思い込んでる人もいますが、
そんなわけないですね。芸能の仕事は、まさに自営業。商品は自分です。自分の努力が成果に直結します。
ちなみに、この場合の努力とは、きっと、「指示されたことを指示通りに、素直にまじめにやればいいんでしょ?」では、ないような気がします。

同じ事を繰り返したら、性能は高くなります。そりゃそうだ。慣れるし、覚えるし、体が反射的に動くようになります。それは、「習熟」という状態だと思います。
学校では、この「習熟」が評価に直結してることが多い気がします。

でも、実際には、社会は変化しているので同じ事が永遠に続かないことが多いです。
その、変化に適応しなければいけないときに、「今まで自分がやってきた習熟」に固執すると、変化に適応できなくなります。

社会の変化に対して、「自分はこれしかやってこなかった。これしかできない。いままで費やしてきた時間を無にできない。いまさら新しい仕事なんて・・・」と言ってしまう人を何人も見てきましたが、社会は容赦なく変化します。

栄枯盛衰です。おごれる者久しからずです。800年前から言われてるじゃない。
大事なのは、変化は当たり前だから、変化に適応することです。

絶望してるヒマも、凹むヒマも、時間の使い方としてはむだです。
自分なんて・・・もうダメだ・・・と思うのも、思考停止でしかありません。
喰えなくなっちゃってからでは、次の手を考えても、行動できない可能性が高いから、
喰えてるうちに、次の手を考えておくべきです。

来たるべき自動化の波に適応する最良の方法は、真っ先に、いま自分のやってる仕事を、
どうやったら自動化できるかを考えることです。
そうすれば、自動化しにくい部分や、自動化してもなお必要な部分が見えてきます。
場合によっては、それを自動化することを仕事にできるかもしれません。
僕は、会社の仲間には、「自分のやってる仕事の中で、単純な繰り返しや、やっても修練にならないことは、どんどん自動化や外部委託していいからね。そうやって生み出した時間で、やったことがないことをやっていこう。」と言っています。
この考え方で、できることを増やしてきました。

どんな不安も、不安がっているだけでは、その不安は現実になります。
不安は、なぜ不安なのかを考えて、対策すれば、不安ではなくなります。
時代の変化は不安かもしれないけど、思考することで、不安じゃなくなります。
ぜひ、「なんで不安に思うのか?」を考えてみてほしいです。