植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

最優先すべきは命です。

時々、スポーツのシーンで、「死ぬ気でやれ!」というセリフに出会います。
このセリフを、学校の先生も使うことがあるのが、とても怖いです。
叱咤激励のつもりなのでしょうが、「死」は、軽々しく使うべきじゃない言葉だと思います。

「死は鴻毛より軽しと心得よ」という言葉がありました。
明治の初期に書かれた軍人勅諭のなかの一言です。
これも、「死ね」といってるのではなく、叱咤激励、覚悟のすすめだと思います。
でも、この言葉は、拡大解釈され、「生きて虜囚の辱めを受けず」にまでつながったのだろうと、
僕は思っています。しかもそれは、軍人だけではなく、一般人にまで適用され、
大勢が自ら命を絶つことになります。

歴史上、背水の陣で、勝った人はほとんどいません。
というか、退路を断つ、というのは、攻撃側のセオリーです。
退路を断たれた方は、窮鼠猫を噛むで、いつも以上の力を発揮できる・・・わけないですね。
残念ながら、僕らはサイヤ人ではないので、追い込まれても、スーパーサイヤ人にはならないです。僕らは、暴走モードにも、ビーストモードにもならないしね。

督戦隊という部隊がありました。突撃を命じられた兵士が、びびって逃げ出さないように、
逃げた味方兵士を後ろから撃つという、めちゃくちゃなやり方です。
ジュード・ロウさん主演の映画、スターリングラードの冒頭シーンで描かれています。)
これもまた、背水の陣的考え方です。後戻りは許されない。死ぬ気で行け!です。
ま、たいてい、全滅します。

僕は、ラッキーなことに、小学校1年生の時に、宇宙戦艦ヤマトの、沖田艦長から、
「明日のために、今日の屈辱に耐えるのだ!」という言葉を教わりました。
おかげで僕は、どんなにつらくても悔しくても、投げ出さないですんでいます。
ぐっとこらえて、いつかかたきを取るのです。
沖田艦長は、敵うはずもない強敵を前にして、「死ぬ気で戦え!」と言いませんでした。
「生き延びろ」と言ってくれました。
それが、僕の力になりました。

だから、僕も、「死ぬ気で行け!」なんて命じないです。
僕は朝礼で、「みんなの命が一番大事だから、運転に気をつけて。もしも寝坊してしまっても、遅刻を恐れてスピードを出さないで。」と話します。それでいいと思っています。

大事なのは、命です。