植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

人口減少時代に重要なこと。

昔、人口が増えていた時代は、
ニーズが増え続けていますから、
作っても作っても足りない状態です。
そこでは、のれん分けが成立します。
また、誰かがやっている事を真似して、
後出しで仕事にしても、それでも成り立ちました。
しかもラッキーなことに、戦後、新しい材料や、
コンピュータなどの発達によって、
製造コストが大幅に下がっていきました。
だから、低コストで大量に作れるようになりました。
 
しかし、人口が減ると、真逆になります。
ニーズが減り続けるのです。
ものを作れば、余ってしまうのです。
毎年、生産を縮小しなければいけません。
これは、生産能力の発達と真逆です。
そんな状態で、のれん分けなんて、できないです。
ライバルを増やすだけですから。
そして、他人のやってることを真似してやっても、
他の人よりも、「安く」しないと売れません。
ひたすら、安さの競争になります。利益率が低下します。
これでは、仕事は成り立たないです。
 
人口減少時代に生き残るためには
他人ができないことをやるのが一番です。
他人ができないこととは、困難なことと、不採算なことです。
ということは、
「難しいからできない」
「儲からないからできない」
を言ってる限り、この人口減少時代のビジネスで
生き残るのは難しいです。
 
たとえば、宇宙開発。
科学の発達によって、昔は入手不可能だった材料や部品が、
容易に安価に手に入るようになりました。
だから、そこら中で民間ロケット開発がはじまりました。
でも、「誰でも手に入る技術」で「ロケットを作る」だけでは、
誰もができることですから、優位性にも対向不能性にもなりません。
だから、それ以外の価値を見いださなければいけません。
 
僕は、日本の宇宙開発について、とても残念に思ってることがあります。
それは、日本特有の問題です。
宇宙開発は、土俵が宇宙ですから、競争相手は世界です。
その世界の中において、
日本ほど、人口密度が高く、国土の隅々まで人が暮らす国は
とても珍しいです。
そして、日本のまわりの海は、とてもよい漁場です。
だから、日本に、ロケットの打ち上げ基地を作るのは、
とても難しいです。
いまの、種子島や、内之浦は、奇跡だと思います。
 
だから僕は、日本で、ロケットを大量につくって、どんどん打ち上げるビジネスというのは、ビジネス的にとても不利だと思っています。
それをやるならば、人の住まない場所がとても広い国がとても有利です。ロシア、アメリカ、中国は、地政学的に宇宙開発にとても適しています。
 
だから僕は、「ロケットの量産」や「ロケット打ち上げ」に固執しない宇宙開発の未来を考えています。
たとえば、宇宙開発を活用した人材育成というのも、僕が見つめる宇宙開発の未来です。
それが、植松電機の宇宙開発が、開始以来、14年経過しても、成長し続けている理由なのだろうと思います。
 
儲かるか、儲からないか。
できるか、できないか。
ではなく、
どんな未来に向かうのかを、できるだけ遠くまで見通し、準備すことが、この、人口減少日本での、生き延びる道なのだと、僕は思っています。