植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

最終学歴は社会人です。

今日は東京の専門学校の子達が来てくれています。
保育士さんを目指す人達だそうで、
みんなほがらかです。
お話も一生懸命に聞いてくれたし、
ロケットを作る時も器用です。デザインもカラフルで素敵。

そんな彼らを見ていて、「あれ?少しかわったかな?』と感じました。
以前からも、専門学校の子達は見学に来てくれていました。
でも、引率の先生が嘆くことも少なくありませんでした。
「ここに来ている子達は、好きで来ているわけではないのです。
成績の制限で大学に進学できず、保護者や先生に、とりあえずどこかに進学しろと指導されて、しょうがなく来ているんです。そういう子達は、「自分なんて・・・」と自己肯定感が低く、そういう子達は、好きで来た子達をやっつけてしまうんです。本当はそういう子達は入れたくないのだけど、入れないと、会社の経営がつらいんです。」
こういう話しは、頻繁に耳にしていました。

しかし、最近変わって来た気がします。

先日、新潟の専門学校のグループでお話をさせていただいたとき、
その専門学校も駆け足で見学させていただきましたが、
町中の撤退したデパートを活用した学校になっており、
設備も工夫されていて、生徒の発表の場も素晴らしく・・・
そう、感じたのは、これは、企業向けの人材育成の場だ、ということです。
そのとおりに、企業との連携も密で、企業や社会が必要とする人材をリサーチし、それを授業に反映しているようです。
企業は、新入社員研修のコストを下げたいです。それには、即戦力の人材が欲しいです。それを、他企業からヘッドハンティングする方法もありますが、金で買える人材確保は、自分より金持ちに勝てません。
重要なのは、人材育成です。それを、専門学校が、真剣にやっています。
そして、そこに来る生徒も、事前にしっかり調べて、入学前の事前授業なども受けます。
それは、素晴らしいことです。

経済成長のためには、就労人口を増やすことが重要です。
そのためには、就労年齢を早めることも効果的です。
しかし、就職氷河期の時代には、大学院は当たり前で、
大学院を出てから専門学校、というパターンも少なくありませんでした。でもそれでは、社会にでるのが、26歳とかになってしまいます。
でも、高校を卒業して、専門学校なら、20歳で社会で戦力になれます。これは、きっと、経済にはプラスに作用します。

本来は、中学校を卒業した段階で、
社会で働く能力を持っていて当たり前です。
それが義務教育です。
しかし、受験主義の学力偏重型教育は、
最終ゴールの社会や企業には目もくれず、途中の、
進学先だけを目標に教育をしてしまいました。
そういう環境では、専門学校をえらんだ子は、
「大学進学できなかった」「楽でいいね」などと、
ワンランクしたに見られてしまう傾向がありました。

でも、そうじゃないです。
いまや、専門学校は、社会をターゲットにした、
実務的な教育をしっかりやっています。
そして、経済的な理由も含めて、大学進学ではなく、
専門学校を目指す子が増えると、よい人材が集まります。
そうすると、専門学校の先生もがんばれます。

学歴は、たとえそれが東大であったとしても、
それは、知識と経験を得るための手段の一つに過ぎません。
重要なのは、社会に出てから何をするかです。
そして、大学に在学できる時間よりも、社会人でいる時間のほうが遥かに長いです。
最終教育機関は、最終学歴は、社会です。

教育に関わる人は、それを決して忘れないで欲しいと思います。
(もちろん、保護者もね。)