植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

資格よりも学歴よりもだいじなもの

僕が中学生の頃、進路相談の時間がありました。
先生が、「将来どうするんだ?」と言うので、
僕は「飛行機やロケットの仕事がしたい」といいました。
すると、先生は、
「飛行機やロケットは、東大に行かないと無理だ。お前の成績で東大に行けるわけがない。だから無理だ。夢みたいなこと言っていないで、お前は、普通高校に行ってもついて行けないから、工業高校に行って、就職を考えろ。」
と言いました。
先生は、将来どうするんだ?と質問しておきながら、
実際には、「どの高校に行くんだ?」しか求めていませんでした。
 
高校でも、同じ事が起きました。
将来の事を質問しておきながら、実際には、
高校を卒業したら、次の進学先はどこなんだ?
しか求めていませんでした。
 
僕は、その頃、おそらく、先生に取っては、僕の将来はどうでもよくて、とりあえず、全員を、どこかに押し込むことを考えているのだろうなあ、と思いました。
その際には、できるだけよいランクの進学をさせた方が、先生や学校の価値が上がるのだろうと感じました。
 
 
昔は、採用条件に、学歴があることが多かったです。
それは、昔は、高校から先に進学する人が少なかったからです。
企業にとっては、「学ぶことに投資できる人材」「より高度で専門的な学問を学んだ人材」を得られる閾値として学歴は機能しました。
 
しかし、誰でも彼でも進学するのが当たり前のようになってしまってからは、企業にとっては、学歴は、優秀な人材を得るための閾値ではなくなりました。
いま重要なのは、企業が、実際に必要な人材を識別する独自の採用試験ができるかどうかにかかっています。
 
ちなみに、僕が求めるのは、
やったことがないことをやりたがる
あきらめない
くふうする
人です。
僕の経験では、この資質は、学歴とは関係ないです。
むしろ、「あきらめの結果の進学」を強制された人は、
いくら高学歴でも、この資質を奪われているケースが多いです。
 
僕は、現在の学校で行われている、
次の進学先はどうすんの?方式の進路相談では、
進学して、資格を取って、その資格を仕事とするような職業以外では、こどもたちは自分の将来の事を考えられないと思います。
ようするに、先生は、先生のような仕事に就く方法しか指導できていない、ということだと思います。
当然だと思います。
人は、自分が経験したことしかわからないからです。
でも、すべての人が、国の資格免許制度に基づく仕事に就くわけではないです。
 
最近では、コンサルが作った進路チャートも活用されているようです。
イエス、ノーで選んでいくと、自分に向いている職業名というか、資格名がわかって、その資格を取るためには、どの学校に行けばいいのかが明確になるチャートです。
でも、この場合も、やっぱり、資格免許制度に基づく仕事しか選択できないようになっていることがほとんどです。
こないだ出会った人は、このチャートで、「放射線技師」が向いている、と診断されたそうです。高校生の時は、本気でそれを信じたそうです。
 
学校は「資格」の重要性を説きます。
たしかに、「資格」はないよりは、あった方がいいです。
でも、実際には、「資格」をとったものの、その「資格」を使えていない人がたくさんいる、ということも知るべきです。
資格は、人生を保障するものではないです。
重要なのは、個々人の「よりよく」を求める心です。
やっぱり、
やったことがないことをやりたがる
あきらめない
くふうする
が大事になります。
 
 
将来の事を考える時間も無く、
とりあえず、大急ぎで、次の進学先を決めなければいけなくて、
その際には、なるべくいい進学先を選ばないと、
そのあとの人生が大変なことになる、と脅されて、
何をしたいのかもわからないままに、ただたんに、
現在の自分の「点数がとれる」科目をベースに、
自分の偏差値の範囲から、進学先を選ばされる。
 
これでは、
できることしかやらず
あきらめて
くふうできない
人しか育たないような気がします。
 
僕は、人間の本当の仕事は、「よりよくを求める」ことだと思っています。
僕が大好きなCoco壱番屋だって、お店によって、
接客の仕方もちがうし、ご飯のつやもちがいます。
すてきなお店は、間違いなく、よりよくを追求しています。
ミシュランの三つ星のお店だって、
よりよくを追求しているからこそです。
 
その正反対が、
「そこまでする必要あるの?」
「余計なことをしたら損をする。」
です。
これは、やらない言い訳です。
どんな仕事も、これをやったらつぶれます。
(ただし、例外もあります。良くない例外です。その原因は、おそらく、国の収支のあり方が問題です。財源が赤字でも成り立つ職業を国が維持しているから、やらない言い訳をしても、つぶれない職業が、一部で成り立っています。)
 
 
お願いだから、こどもたちが生まれつき持っている、
やったことがないことをやりたがる
あきらめない
くふうする
を奪わないで欲しいです。
これは、学力よりも、学歴よりも、資格よりも、重要な資質だと僕は思っています。