植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

10月1日は植松電機でスペースプローブコンテストですよ。見学参加大歓迎。

人工衛星や宇宙探査機を開発するとき、
宇宙に行って仕事をする機能も大事なのですが、
その前に、ロケットで打ち上げるときの振動や、加速や、衝撃に耐える能力も大事です。
また、人工衛星は、様々な要素に別れています。
電源であったり、通信であったり、記録であったり、測定であったり・・・
それらは、個別に試験することができます。
 
そのときに、とても良いのが、小型ロケットで打ち上げて、
落下してくる間に試験をする、という方法です。
 
缶サット、と言う言葉は、宇宙関係の人には定着した感じがします。
空き缶サイズのサテライトです。
人工衛星開発のファーストステップかも。
 
昔は、本当に空き缶を利用していましたが、
空き缶は、加工が難しいことと、なんといっても、
電波が通らない。
最近は、ペットボトルを利用するケースも増えています。
なんと言っても、衝撃に強い。
 
でも、問題はそれを打ち上げる手段です。
 
日本には、火薬類を使用するための規制があります。
火薬量30gを越える場合には、かなり面倒な届け出が必要です。
また、打ち上げる高さも重要です。
250mを越えてしまうときには、航空管制に届けを出して、許可をもらわないといけません。
また、パラシュートで降下する物体は、風に流されます。
高く上げればあげるほど、落ちる範囲が広くなります。そのための広いスペースが必要になります。
 
僕は、ある人から、缶サットを普及させたいという話を聞いたとき、真っ先に、学校のグラウンドで生徒が安全に飛ばせるレベルにしないと普及しにくいだろうと思いました。
 
学校のグラウンドは、だいたい、100m走はできます。
ロケットの安全範囲の目安として、打ち上げ高度と同じ程度の広さがあるといいので、100m走が出来るグラウンドなら、100mほどは打ち上げられます。ただし、これは風が弱いときの話です。
ある程度の安全マージンを考えたら、60m〜70mほどの打ち上げが安心です。
そして、火薬量の制限があります。
使用するロケットエンジンのパワーに制限があるからには、
打ち上げに使用するロケットが軽いことが望ましいです。
 
ということで、またしてもケント紙のロケットです。
これは、100gのものを、Cクラスのエンジンで、60mほど打ち上げる能力があります。
ロケットは、エンジン部分が切り離され、フェアリング部分は、ゴムの力で左右に開きます。
ケント紙にプリントするだけで作れます。
 
もちろん、100gというのは、とても小さいと言えば小さいです。
でも、それでも出来る実験はあります。
 
10月1日に植松電機で開催されるスペースプローブコンテストでは、1kgまでのものを打ち上げるために、カムイロケットを使用しますが、来年は、1kgクラスの他に、100gクラスも作ろうかなと思います。
その10月1日のスペースプローブコンテストでは、希望する人に、この機体のプリントかデータを配布しようと思います。
 
10月1日のスペースプローブコンテストは、見学だけの参加も大歓迎です。当日は、前日までの研修に来ている海外の研究者も見学参加してくださるそうなので、国際色豊かなコンテストになると思います。
ゆくゆくは、このコンテストには、ロケット部門もつくって、
ロケットの技術チャレンジもサポートしたいと思っています。
植松電機は、安全なロケットエンジンと、機体があります。
エンジンのみ試験したい人には、植松電機のロケットの機体を提供します。機体の試験をしたい人には、安全なロケットエンジンを提供します。
ちなみに、「缶サット」ではなく、「スペースプローブ」にした理由は、サテライト(衛星)にこだわらなくていいからです。
惑星探査や、さらには、災害で人が入れない場所への探査機の投入などもイメージした開発をサポートできたらと思っています。