植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

SS-520がんばれ!

SS-520 うまくいかなくて残念。
まだ原因は正式発表されていないけど、実績のある部分での通信の不具合のようです。
うーむ。これは、人ごととは思えない。
 
ロケット開発をしていて、とてもつらいのは「通信」です。
実験や研究に使える電波が少ないように感じます。
テレビの地デジ化によって、VHFとUHFは解放される、という話を聞いたときには、飛び上がって喜びましたが、
実際にはそうなっていません。
 
現在、無人機を始め、通信を必要とする技術はとても多いのですが、日本が遅れ気味に見えるのは、電波の制限のようにも思えます。
 
第二次世界大戦のとき、日本は、アメリカに電波技術で大差をつけられました。
航空機に装備された無線機も調子が悪く、連係プレーは手信号に頼っていたとか・・・。
その一因として、日本は戦争が近くなり、ラジオ放送を規制し、ラジオ受信機も国が定めたものだけにしてしまったので、ラジオの技術が発達しなくなってしまったのに対し、
アメリカでは、ラジオの民間放送もおおはやりで、ラジオ受信機も民間の製品がどんどん作られ、それが、技術の底上げにつながったと言われています。
 
いま、宇宙開発に民間が参入することで、技術発達を期待する、という話がありますが、現実には、国が決めた法律や規制はかなり窮屈で、自由とはほど遠いです。
(たとえば、ロケットには圧力容器(ボンベ)を使いますが、その耐圧認定をとるのに、すごい時間とお金がかかってしまいます。もちろん、安全規定はとても大事ですが、大量生産して、不特定多数の人が乱暴に使うかもしれないボンベと、実験に精通した人達が、実験のために、しかも一度きりのために使うボンベとでは、違う基準があってもいいんじゃないかなと思います。)
 
SS-520はロケットが、正しく飛んでいるかを、段階的に確認して、
確認できなかったら次の段階には進まないことで、安全にしています。僕らのロケットも同じ仕組みになります。
だから、今回の電波通信の不具合は、ちょっと心配。
 
でも、このSS-520の目的は、安価にして、実験チャンスを増やすためのもののはず。いってみれば、オリンピックの本番前の練習のチャンスを増やすようなもの。練習中の失敗を否定したら、練習そのものが出来なくなります。
だからこそ、僕らがすべきことは、はやく次のSS-520が飛ぶように、応援することです。
 
がんばれ。負けるな。もう一度!
僕らもがんばるよ!