植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

10年早いわ!なんて言う人は、さっさと追い越していこう!

10年早いわ!
 
というセリフは、漫画の中でしか見たことがなかったけど、
大人になってから、実際に言われたことがあります。感動しました。
 
その人は、電磁石に関して、かなり自信と経験のある人でした。
だから、駆け出しの、電磁石を作り始めたばかりの僕に、「10年早いわ」と言ってくれました。もちろん、いい意味ではないです。
 
僕は、電磁石の中を通過する磁気の流れが、流体の流れにとても似ている、と思いました。
だから、電磁石の解析に、流体の解析を混ぜた、新しいプログラムを考えました。
それが、その人にはおもしろくなかったようです。
 
でも、その人だって、何年電磁石に関わってんの?って調べたら、
確かに、僕より10歳くらい年上だったから、物理的に10年早いのは事実です。
 
でも、その10年の間に、コンピューターも進化し、材料も進化しました。
だから、残念ながら、僕の考えた電磁石の最適化設計プログラムは、電磁石の設計に関しては、その人との経験の差を、急激に埋めてしまったようでした。
だから、悔しかったのだと思います。
 
世の中には、年齢の差を力の差として押しつけてくる人が少なくないです。
そういう人は、たいてい、現在努力していない人です。
なぜなら、日々、新しい情報は増えています。それは、老いも若きも、同時に手に入れられます。
経験も同じです。同じ時間を過ごしていますから、老いも若きも、経験を増やせます。
で、若きに追いつかれるのが悔しくて、「10年早いわ」と、「経験年数の差」を主張する人は、
追いつかれちゃってるわけですから、現在努力をしていない人です。
 
もちろん、経験のない人が、一足飛びに挑戦しようとして、それが危険だと思ったなら、
段階を踏ませるアドバイスは必要です。
でもそのときのセリフは「10年早いわ!」ではないと思います。
僕らがすべきは、後から来た人達を、自分以上に押し上げることです。
それをやらないと、社会は衰退する一方です。
 
何歳になったって、若い人と同じように学べます。経験もできます。
以前、東大で、宇宙が大好きな大学生が集まる集会に参加しました。
そのとき、彼らの熱気と努力に、確かに嫉妬を覚えました。
そして、一緒に行った会社の仲間と話したことは「とりあえず、走るしかないね。」です。
 
「後から来たのに追い越され、泣くのが嫌なら、さあ歩け!」です。
水戸黄門の歌はいいね。