植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

単純化された理論に食いつくな

スマホの使用時間が長い子どもは学力が低い傾向がある。

え?ってことは

スマホを持っていない子は、学力が高い傾向がある?

なんで、こういう結論を出せるのでしょう?

スマホの使用時間が長いと学力が低くなる。というのは、
勉強しない時間が長いと学力が低くなる、というわかりやすい因果関係の、ごく一部を取り出したものにすぎません。
おそらく、子どもがスマホを持つことを良く思わない大人が、
このようなバイアスのかかった答えをひねり出しているのだと思います。
これは、スマホに対するネガティブキャンペーンです。

スマホは便利です。使い方によっては、勉強にプラスになります。しかし、スマホでゲームに夢中になる人もいます。でも、だからといってスマホが勉強にマイナスである、というくくりにはならないです。

少し前は、テレビを見る時間が長いと学力が低い、という説もありました。
でも、Eテレばっかり見てる子もいるかもしれません。
勉強にプラスになる番組もあるのに、
「テレビは勉強にマイナスである」というくくりなのが理解できません。

前回、科学の発達は人類に悪影響を与える、という意見をもらいましたが、それも、「スマホやテレビは勉強にマイナスである」という考えと似ていると思います。

僕はこういう根拠の乏しい、変に単純化された理論が好きではありません。こういうのにすぐ食いついてしまう人達は、
思考統制されやすく、危険です。

かつてナチスは、ユダヤ人は国家に悪影響を与える、という考えを流布しました。それを否定しない人が多かったから、とんでもないことになりました。
鬼畜米英とかも、似たような、根拠の乏しい単純化された理論です。

ちなみに僕は、日本国の国民のレベルを知りたければ、
働き盛りの学力を測るべきだろうと思います。
ど働き盛りが、どんだけ勉強しているか?
でもそれを測るのは難しいですね。
だとしたら、どんだけ勉強していないか、を測るのはありかも。
でも、趣味も立派な勉強になることが多いです。
だとしたら、どんだけ「暇つぶし」しているか?を測るというのはどうでしょう?
それは、子どもについても当てはまるかもしれません。

暇だ。退屈だ。なんかおもしろいことないかな。
という台詞を耳にすることは少なくないです。
僕は、暇だ。退屈だ。なんかおもしろいことないかな。と
思うことがありませんから、こういうことを言う人の気持ちがよくわからないです。
だって、身の回りにはおもしろいことが沢山あるし、
むしろ、時間がなくてできないことだらけで困ります。
僕は、時間が欲しいです。
でも、おもしろいことを、サービスでしか感じない人達は、
おもしろいことのために、お金が欲しくなるかもしれません。
そして、そのお金を稼ぐために、時間を失うかもしれません。

暇は、つぶしてはいけません。
暇があったら学ぶべきです。
ちなみに、スクールの語源はギリシア語の「スコレ」ですが、
これは「暇」という意味です。
暇があるから学べる、ということかもしれません。
食い扶持のために働き続けるだけではなく、
時間を生み出して学ぶ。ことの大切さをギリシア人は知っていたのかも。