うずらのたまご問題。
あいまいな心の重要性
講演後の学生さんからの質問で
「夢をつぶさない方がいい、と言いますが、もしも、人を殺すのが夢だ、という人がいた場合、その夢もつぶさない方がいいのですか?」というのがありました。
頭の隅っこで、「このパターン、前にもあったなあ・・・」と思いつつも、ちょっと想定していなかった質問だったので、
さすがに戸惑ってしまいました。
たしかに、夢はつぶさない方がいい。
でも、その夢が、他人の自信や可能性を奪う場合は、
それは僕の夢とは相反する。
うーん・・・
人を殺すのは、人の可能性を奪う事になるから、
それは、人類レベルでの損失だから、殺さない方がいい。
人を殺すという夢は、実現したら、人類にとって損失だから、実現しない方がいい・・・
いろいろ考えたけど、どうもうまくまとまらず、
帰ってくる電車の中も考えてました。
で、あのとき僕が答えるべきだったのは、
「君はどう思う?」だったような気がします。
おそらく、この問いは、「人を殺すのが夢だ」という人に出会ったときに、どう行動すべきか?なのかなと
解釈して考えたら、
僕は、人を殺すという夢は、とてもじゃないけど賛同も応援もできない。それは違法だし。
だから、そういう夢をきいたら、
人を殺しちゃいけない、という話をして、それでも、その夢が現実に近づくようなら、警察に相談すると思います。
そもそも僕は正義ではないので、僕がが裁いちゃいけないからね。(僕が私的制裁を加えてはいけない)
これが、僕の思考の結果です。
でもこの答えは、僕の個人的な考えであって、100点ではないと思うし、万人に強制するつもりも無いですし、してもいけないと思う。
だからこそ、質問してくれた子に僕が返すべき言葉は「君はどう思う?」な気がするのです。
彼が、どう考えるのか、ききたかったなあ。
今回の質問してくれた彼が、そうだとは思いませんが、
ときどき、ある考え方に対して、その考え方が成立しない仮定を持ってきて、その仮定が成立しないということは、その考え自体が間違いですよね?
という思考をしてしまう人がいます。
でも、世の中には、正と誤が明確ではない状態があります。
そのあやふやな状態を制御するのが、人間の心だと思います。
だからこそ、裁判にも、「情状酌量の余地」があるのだと思います。
おそらく、その曖昧なあたりが「道徳」というジャンルなのかも。
どんなことも、100%成り立つのか?成り立たないのか?成り立たないなら、それは間違いである、という思考をしてしまうと、心の余地がなくなる気がします。
でも、最近、特に男子にこの思考の人が多く見かけられます。
その原因は、答えが明確なクローズエンド問題ばかりを解かせてきた日本の教育にあるのかなあ・・・と思ったりもしつつ、
次回、似たような質問が来たら「君はどう思う?」と答えよう、と思います。その上で、「あいまい」と「こころ」の話をしようかなと思います。
こう思えたのは、彼の質問のおかげなので、
やっぱり、いろんな質問や感想は大事だなあ、と思いました。
大トイレの回転率の低下は、ベンチの少なさが原因かも。
経験値が涙になるのかも。
僕は、歳をとって、涙もろくなりました。
わりと些細なことでも、涙が出ます。
なんでかな、と考えて見ましたが、
もしかしたらそれは、年齢を重ねるほどに、経験値が増えて、
共感できることが増えているからかなと思います。
以前、中学校の評議委員をやってる時に、授業を参観してくださいといわれたので、
だったら、授業を受けさせて、とお願いして、数学や英語や歴史の授業に混ぜてもらいました。
そのとき驚いたのは、授業がわかることです。
あんだけいやだった英語の授業もわかります。
先生の工夫もあると思いますが、授業が楽しかったです。
で、今朝、会社の朝礼で、会社の子が、いま一生懸命に難しい試験の勉強をしてくれているのですが、彼が、「年齢を重ねてからの方が、新しいことをおぼえるときにも、知ってる単語や言葉が増えているせいか、つながる感じがする。だから、若い頃よりも吸収できる気がする。」という話をしてくれたとき、なるほど、そういうことか。と思いました。
人間は、年をとると、衰えることもあるけど、
適切に経験を増やしていたら、きっと共感も学びも、よりよくできるような気がします。
しかし、経験を増やしていないと、いつまでたっても、共感もできず、学べないのかもしれません。
経験を増やす際に重要なのは、「やったことがないこと」「しらないこと」と関わることのような気がします。既知の範囲だけでは成長は少ないです。
未知の中に、成長があると思います。
だからこそ、「やったことがないからできない」「しらないからできない」は、
成長をストップさせる危険な言葉なんだろうなと思います。
今年も、もうあと少しです。
今年も、本当にいろんな人や本や映画や音楽に出会えました。
それは僕を、より一層涙もろくさせるのだろうと思います。
でも、それでいいのだ。