植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

君がっ!泣くまでっ!怒るのをやめないっ!じゃなくてさ。

おそらく、いつも忘れ物をする子なのでしょう。
先生が、すごい剣幕で怒鳴りつけています。
「なんでいつも忘れるんだ!」
「だらしない!」
「そんなことでいいのか!」
「こないだもそうだったろ!」
「なんでいつも忘れるんだ!」
以下同文

周りの子達も、うんざりしています。
僕も、うんざりします。

なぜ、うんざりするのか?
それは、この先生の言い分には、建設的な部分がないからかもしれません。おんなじ事を、表現変えて言ってるだけです。
忘れ物をした。
という事実を、ひたすら怒ってるだけです。


僕も、忘れ物をします。
会社の人が、忘れ物をすることもあります。
その瞬間は、とても困ります。
でも、大事なのは、復旧です。
どうやったら、忘れ物をした状態で目的を達成するかが、
ものすごく重要になります。

たとえば、以前、滋賀県の学校にロケット教室に行ったとき、
ロケット打ち上げに必要なバッテリーが、
途中で輸送で止められて、届きませんでした。
田口トモロヲさんの声で「背筋が、凍り付いた。」というナレーションが聞こえるほどの衝撃です。
で、僕の目は、そこにある先生の自動車に向いてる訳です。
学校の先生が、自動車に乗ってきています。
そのバッテリーを借りよう、と思いました。
もちろん、先生は快く貸してくださいました。
ロケットは無事に打ち上がりました。

で、それからは、バッテリーの輸送には最新の注意を払うようになるし、どうしても不安があるときは、現地でバッテリーを買ったりもしています。
それだけで、再発は防止できています。

忘れ物を無くするためには、
たとえば、チェックリストを作るのも大事でしょう。
装備を、常に同じ場所に入れておく、というのも大事です。
僕のリュックサックは、忘れ物対策で膨らみ続けています。


僕なら、忘れ物を頻繁にする子がいるなら、
話し合うでしょう。
なんで忘れちゃうのかなって。
そして、その上で、どうやったら忘れ物をなくせるかを、
一緒に考えて試してみるでしょう。
そうすれば、その子は、忘れ物で困らなくなるかもしれません。

誰かの失敗を、「ダメだ!」と叫び怒るのは簡単です。
しかし、重要なのは、どうやったら失敗しないように出来るかです。
泣くまで怒れば、怒られるのが嫌になるから、失敗しなくなる、という理論を持ってる先生もいます。
「君がっ!泣くまでっ!怒るのをやめないっ!」
ジョジョか!?
それって、吠えると電気ショックが流れる首輪とかと、
かなりにてる感じがするんですけど。

ナショナルジオグラフィックの番組で、エアクラッシュ(日本題名:メーデー)というものがあります。
過去の航空機事故と、人間がどう向き合ってきたのかを詳細に再現してくれるドキュメンタリーです。
そこでは、犯人をつるし上げて終わりではありません。
機長が原因なら、機長が泣くまで殴るわけでもありません。
原因を究明し、それが、人間関係にあるならば、その人間関係までも改善できるシステムを作り出すのです。
失敗に罰を与えるのではなく、失敗を「なんでだろう?だったらこうしてみたら?」でデーターにすることで再発を防ごうとするのです。
ようやく日本でも、それは「失敗学」として導入されつつあります。僕は飛行機が大好きだったおかげで、それにずいぶん早くから接することが出来ていますが、まだまだ普及しているとは言いがたいのが日本の実情です。

土下座&切腹、見せしめ。の文化の日本では、
失敗の再発防止は難しいかもしれません。
って、言っちゃあおしめえよ。
僕は教育現場でも、「失敗学」が活かされるべきだと思います。