嫌だから嫌、という主張だけでは、問題は解決しません。
「レアメタルの太平洋戦争」
という本を見つけてきました。
金属資源の視点で太平洋戦争を分析した本です。
表題はレアメタルとなっていますが、
もちろん、現在のレアメタルではありませんし、
鉄、銅、アルミニウムなどの金属資源についての記述が
ほとんどです。
この本のおもしろいところは、
鉄、銅、アルミニウムなどを使うためには、
どのくらいのエネルギーが必要か、なども
書かれているところです。(精錬や輸送も含めて)
鉄が欲しいからといって、
鉄鉱石だけもってくればいい、というものではありません。
それを、必要な鋼にするためには、
もっともっといろんなことが必要になる、ということを
あらためてわかりやすくおしえてくれます。
また、金属資源の確保の問題についても言及されており、
日本が南方の資源を得るために、南方の鉱山をおさえたものの、
日本軍が管理したら、とたんに産出量が激減して、
結局は、南方をおさえた意味がなかった、という
ことも書かれています。
その原因として、優秀な技術者を徴発して戦争に送ってしまい。
鉱山にド素人の軍人が管理してしまったことがあげられています。
戦争をするということは、とてつもない資源の浪費です。
莫大な量の資源を確保し、それを精錬して製品を作るということが
継続的にできなければ、戦争などできない、ということを、
この本は示しています。
もし、この本に書かれていることを、多くの国民が知っていたら、
あの太平洋戦争は、防げたかもしれないなあ、と思いました。
(戦争をするためには、人材も必要です。人材育成という面でも、日本の問題点を考えることができると思います。)
戦争は恐ろしいものです。
でも、戦争が嫌だから嫌。だけでは、
今の自分の気持ちの説明にすぎないです。
それは、赤ん坊といっしょです。
不愉快だから、不愉快を示す。だけでは、
問題を解決できません。
戦争が恐ろしいからこそ、戦争のことをよく学び、
どうやったら再発を防止できるのかを考えるべきです。
臭いものに蓋をしたり、見たくないものを無視したり、では、
臭いものも、見たくないものも、なくなりません。
「レアメタル」の太平洋戦争: なぜ日本は金属を戦力化できなかったのか
- 作者: 藤井非三四
- 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
- 発売日: 2013/07/02
- メディア: 単行本
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