植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

努力の振り向け先をしっかり考えよう。

最近は、科学が発達しています。
だから、子どもでも、かなりの知識を持つことが可能です。

植松電機のコズミックカレッジは、
常連さんが多いので、どんどん内容が濃くなってしまい、
いまでは、SSHの高校や、大学でやるようなことを
小学生や中学生がやっています。できます。

昨日伺った高校でも、自分で研究開発をしている子の話しを聞くことができました。
ハイスピードカメラなどを駆使して、セミの飛行を分析していました。すばらしいことです。
ハイスピードカメラが、安価に手に入るようになったことも、
幸いですね。

僕も中学、高校の時、自分で好きでやってることが、
授業とまったくあっていませんでした。
僕は歴史が好きだったから、歴史を勉強しました。
僕はメソポタミア文明に興味を持ち、
かなり深く学んでしまいました。
それは、歴史の授業にはまったく関係なく、
歴史の成績は、そんなによくありません。
だから、僕が「歴史が好きです」と言っても、
先生はそれを信じてくれません。
でも、いま、会社を経営しながら、一番役に立ってる知識は、
きっと「歴史」です。

いま、大学では、1年生では高校のおさらいをします。
2年生では、一般教養を深めます。
3年目位から、専門の勉強がはじまります。
でも、授業のほとんどは、先生が教科書の内容を板書して、
生徒がそれを書き写す、というものでした。
実験や研究に携われるのは4年目からです。
大学に4年間行くのに、大学らしい専門の研究ができるのは、
ほんの半年くらいかもしれません。
おまけに就活もあります。
だから、もっと深く学びたかったら、大学院に行くしかないのかも。でも、それにはまた、お金と時間がかかります。

今も仲良くしている、ある大学の教授は、
大学に来る生徒が受験勉強しかしていないから、
知識や「知りたいという気持ち」に乏しくて、
その結果、大学の授業は手加減をせざるをえなくなった。
だから、大学の授業の密度は、かなり低下している可能性がある。
4年間の価値が、疑われる。
とおっしゃっていました。

僕は、今現在、一番勉強しています。
社会人になってからのほうが、遥かに勉強しています。


大学の存在理由はなんでしょう。

行けばなんとかなる?
もうそんな時代は終わってしまいました。

行けば人生の選択肢が広がる?
本当に?
「せっかくいい大学にいったのだから、いい会社に入らないともったいない。」なんていう縛りで、選択肢が狭まっていない?

いま、高校はスーパーサイエンスハイスクールなどで、
いわば大学の授業の前倒しのようなことに挑んでいます。
それはすばらしいことです。
でも、スーパーサイエンスハイスクールは、盛り込みすぎな感じもします。ちょっと子ども達がいそがしすぎる気がします。
また、スーパーサイエンスをがんばりすぎると、受験に悪影響がでるとして、保護者からクレームがつくこともあるそうです。
また、スーパーサイエンスを、単に、理系のトップとしか認識せず、進学に有利になるかも、と思って選択しているだけの人も少なからずいるようです。

大学も、高校も、努力して、従来型の「受験」という価値観から抜け出そうとしているのに、保護者や中学校の感覚は、「受験」に頼りすぎているような気がします。

その狭間で、苦しんでいる子達は少なくないです。
もちろん、何もしないよりは、受験勉強したほうが、ましかもしれません。
でも、もっとしたいことがあるのに、受験勉強しなくちゃいけない人は、ちょっとつらいかも。

大人がやってきた受験勉強は、今から30年前のことです。
でも過去の常識を、子どもに押し付けない方がいいです。
僕は中学校で「現実を見ろ!」と言われました。
でも、今の大人にもいいたいです。「現実を見ろ!」
しっかりと、現在の社会の姿を理解してほしいと思います。
そのうえで「だったらこうしてみたら?」と考えましょう。