植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

人を見下したい評論家に負けないように

ときどき、スポーツ中継などを見ていて、
選手のミスを、すごく怒る人がいます。
その選手をくそみそに言います。

僕は、その気持ちが理解できません。
だって、ミスをした選手だって、自分よりは、
遥かに高性能なはずです。
自分ができないことをしている人に、
できない自分は文句をつけられないです。

僕は、ほとんどスポーツ中継は見ません。
でも、唯一見るのは、アルペンスキー競技です。
その中で、やっぱりミスしてしまう選手がいます。
その時は、自分も少しだけ競技スキーをやったからか、
その悔しさや、悲しさが理解できるような気がして、
泣きそうになります。
けっして、その選手を「へたくそ」とは思わないです。

戦時中、日本軍は、アメリカの戦闘機を捕獲して調査します。
その報告書には
「ここがだめ」「ここがひどい」「ここが雑」などと、
「ダメな点」ばかりが列挙されていたそうです。
しかし、実際に、アメリカの飛行機を操縦したパイロットは、
「確かに、運動性能では日本の飛行機に劣るけど、無線機の性能はとても良いし、エンジンも油漏れ一つしない。エンジンは、いつでも好きな時に必ず始動できる。これはすごいことだ。」と褒めています。でも、その褒めた点は、日本の飛行機にはついに反映されなかったそうです。
対して、アメリカ軍は日本の戦闘機を捕獲したら、
その「良いところ」を列挙します。そしてそれを、自分の飛行機の設計に反映していきます。
あの戦車大国ソビエトも、日本の貧弱な戦車を捕獲したら、
ちゃんと良いところを記録して、自分たちの戦車に反映しています。

もしかしたら、日本人は、自分以下を作りたいのかも。
それは、戦後数十年経過しても、変わらないってことかなあ・・・

僕の講演についての感想文で、ショックだったのは、
ある大人からの意見ですが
「自分は、たくさんの講演を見てきている。でも、こんなに、抑揚も無く、身振りも無く、盛り上がらない講演ははじめてだ。とてもつまらなかった。」と書かれていました。

でも、僕の講演は、僕の講演であって、僕が、違う人の講演を真似すればいいってもんじゃないと思うんだけど・・・

この感想文が、ずーっと気になっています。
でも、今までに、万を超える感想文をもらっている中で、
この意見は一件だけです。(いやほんとうは、そう思ってる人は、もっとたくさんいるのだと思うけど。)
万分の一の意見で、自分が凹んで、うまくしゃべることができなくなったら、それは、聞いてくれる人に申し訳ないな、と思うようにして、がんばっています。

YMOのコントじゃないけど、
どんなことにも「いいとこもある」だけど「わるいとこもある」です。
それに対して、もしも何か意見したいのであれば、
「だったらこうしてみたら」がいいと思います。
評論できるほどの知識の持ち主なら、より良くできるアドバイスができるはずです。
それができないのであれば、それは、ただの「なんくせ付け」です。
そんな「なんくせ」には負けないように、
自己表現をしていきたいものです。
クリエィティブな仕事のみなさん。ともにがんばりましょう。