会社のみんなからのプレゼントは「はさみ」でした。
会社のみんながプレゼントしてくれました。
種子島のはさみです。
ものすごい伝統の技で作られたものだそうです。
たしかに、刃の付け方や、刃の湾曲の仕方が、
いままで使ってきたはさみとはかなり違います。
切れ味もすごいです。
僕は、ヘンケルスのクラッシックというはさみを愛用しています。
古いデザインですが、とても切れ味が良く、細かい細工に最適です。
以前、僕の講演に紙飛行機の二宮先生がご夫婦でいらしてくださったことがありました。
最初の話題は「はさみ」でした。
二宮先生は、僕の愛用のはさみの僕が気に入っているポイントをほめてくれました。
とてもうれしかったです。
小さい頃から、紙切りつとむちゃんと呼ばれた僕は、
いまでは、たいていのものが作れるようになりました。
マシニングセンターも導入したし、
レーザー加工機もはいってきます。
でも、僕のスタート地点は、はさみです。
今回、みんながプレゼントしてくれた理由は、
僕が植松電機の社長になったからです。
16年間、ずーっと専務でした。
なぜなら、会社を興す前、様々な大手企業と交渉する中、
僕が最高責任者だと、ハンコをつくまで帰さない、という圧力をかけられることがとても多かったです。
僕の父さんは、職人です。だから、駆け引きなどはとても苦手です。また、人を育てるのもとても下手です。だから、経営者には向いていません。
でも、大手企業との駆け引きのために、会社を作ったとき、僕は専務になりました。
実質の経営はすべて僕がやっていましたが・・・
でも、大問題が発生です。
父さんがもっていた植松電機の株式の評価額が、知らない間にどんどん上がっていて、それを僕が相続したら、会社がつぶれるほどの相続税を払わないといけない事がわかりました。
でも、政府もこの問題を検討してくれて、是正措置を作ってくれました。
その措置を活用するための条件が、僕が後継者として経営を引き継ぐ、ことでした。
ということで、昨年から、1年かけて準備を進め、
8月の決算期を境に、僕が社長になることになりました。
16年間、「センム」と呼ばれてきたので、
「シャチョー」と呼ばれても、全く実感がないし、むしろ気恥ずかしくて嫌です。
しばらくは、あだ名として「センム」でいいかなと思っています。
会社のみんなは、「はさみは、道を切り開くという意味があります。」と言ってくれました。
この小さいはさみで、でも、すごい切れ味のはさみで、
新たな道を切り開いていきたいと思います。