植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

全国学力テストの意味

国学力テストの結果が発表されました。
順位をあげた県も、下げた県もありますね。
でも、そもそも、なぜ全国学力テストを
小学校と中学校で行うのか?

それは、義務教育の品質確認のためじゃないの?
義務教育は、よき日本人を育成するためのもののはずです。
かつて、日本では、教育の価値を知らない大人が、
子ども達を学校へやらずに労働させていました。
でもそれでは、子ども達はとても単純な労働力にしかなりません。
日本の未来のための、もっと高度なことができる人材を
育成するために、教育に理解のない大人の手から
子ども達を救うために、義務教育になったのだと思います。
だからこそ、保護者には「義務」となったはずです。

義務教育は基本的に日本国が提供します。
そのための教員免許制度だと思います。
免許とは、サービスを一定の水準で提供するための保証です。

その全国一律の教育提供に差が生じているかどうかを
確認するための全国学力テストだとしたら、
順位で評価するべきではありません。
偏差で評価すべきです。

おそらく、ほとんどの県が、標準偏差のど真ん中にいると思います。
その中で、順位がちょっとあがったの下がったので
優劣を評論するべきではないです。

北海道は、いつも下の方です。
中学校は特に下の方です。
だから、北海道は、学力向上に努力をしています。
家庭学習の強化を強く提唱しています。
でも、そんなこと言われても、学校は家庭に強制力を
もっていません。
さらには、
長時間の部活をして、家に帰るのは19時近く。
それから、食事をして、風呂に入って、くつろいで、
それで7.5時間の睡眠を確保しようとしたら、
寝るまでの時間はあんまりありません。
ましてや、疲れてるから、バタンキューです。
北海道は、学力向上に必死に取り組んでいるように見えますが、
だったら、部活の時間制限はすべきだと思います。
でも、そうすると、真っ先に反対するのは保護者です。

また、残念なことに、家庭環境が良くないこどもも多いです。
とてもじゃないけど、家で勉強なんてできる環境じゃない子も
少なくないです。
保護者が学ばない家庭の子は、学ぶことができません。
北海道の学力テストは、実は普通よりやや下程度だそうです。
ところが、0点の子が少なくないので、
一気に順位が下がってしまう、とぼやく先生もいました。
そういう学べない家庭に向かって、家庭学習強化、を叫んでも、
なんにもならないです。

国学力テストは、その県の子ども達のレベルを測るものではなく、
その県で提供される義務教育のレベルを測るものだと考えてみたら、
すこし違う視点で考えることができるかもしれません。
先生の取り組みもかわってくるかもしれません。

僕は、全国学力テストの模試や予備校がないのが、まだ救いだな、と思っています。
どんなテストも、パターン分析して集中対処したら、成績をあげられてしまいます。でもそれでは、本来の「調査」の意味は薄まってしまいます。

と思ったら、代々木ゼミナールが大規模なリストラクチャーを宣言しましたね。
いま、日本の教育は大きく変化しはじめています。
なぜならば、社会が求める人材と、従来の教育が作ろうとした人材との解離が著しくなっているからだと思います。
いち早く動き始めた代々木ゼミナール
これから、どんなアクションをとっていくのか、注目しておいた方がいいと思います。
でも、民間は迅速に変化できるけど、国が提供する義務教育は、そう簡単には方向転換できないでしょう。
これから、5年〜10年くらいの間に義務教育を受ける子達は、もしかしたら、社会に適合するのが大変になるかもしれません。
(だから、民間の教育サービスが重要になるかもしれません。これは、ある意味、ビジネスチャンスです。ってあおったら、真剣に取り組む人増えるかな。)