植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

自分にもできる。と思った方が人生は豊かになると思います。

僕が小さいとき、
近所には、自営業の人が沢山いました。

そして、おそらく、商売のつきあいのおかげか、
いろんな人が、小さい僕にも声をかけてくれました。
僕が、お店や工場に行っても、
「お!よくきたな!」って感じです。

そんな人たちが教えてくれました。
「見てごらん。この世にある人間が作った物は、
すべて、普通の人が作り方を習って作った物なんだよ。
どんな物も作り方を知れば作ることができるんだよ。
なければ作ればいいんだよ。」

昔の北海道の、しかも中央部は、物流が悪かったので、
機械が故障したとき、部品が届くのを待っていられなかったようです。そのため、修理業とは、部品交換業ではなく、
まさに、部品を作って直してしまう仕事になっていました。
だから、僕の実家も、モーター巻き線修理業でしたが、
軸受けのメタルの加工のために、旋盤があったし、
ケースが割れたときのために、溶接機もありました。
しかも、かなり早い段階から、TIG溶接機もありました。
(アルミニウムのケースも多かったため)

だから僕は、物の仕組みや構造がとても気になる子どもになりました。
僕がプラモデルにあこがれたのも、きっと、その組み立て説明書がほしかったからだと思います。なにせ、昔はみんな、組み立て説明書を「設計図」と呼んでいましたから。
だから、今でも、昔から集めたプラモデルの説明書が山ほどあります。

ディスカバリーチャンネルの「メガファクトリー」という番組では、様々な最先端の機器の製造工程を紹介しますが、
フェラーリの工場では、普通のおばちゃん達が、手作業でシートの縫製をしています。
イージス艦建造では、ブロック工法で作られた船体を合体させるとき、でっかいチェーンブロックとハンマーで引き寄せていました。
それらを見ていると、「自分でも作れそう」と思ってしまいます。

以前、僕らのロケット打ち上げを見学に来た、おそらく、どこかの大学の教授だと思うのですが、僕らのロケットを見て、
笑いながら「日曜大工みたいだね。こんなんでいいの!?」なんて、おどけていましたが、とても不愉快でした。
日曜大工の定義はなんだ?と思いました。
すくなくとも、このロケットは、平日に作っているぞ。
手作業はレベルが低くて、オートメーションがレベルが高いのか?
一品物はレベルが低くて、マスプロがレベルが高いのか?

実際、僕らのロケットは、ほとんどがホームセンターで買える材料で構成されています。
だって、アポロ時代に最先端だった材料は、
いまではホームセンターで買えるからです。
それが低レベル?
ホームセンターの経営者の前で、同じ事言えるかな。

以前、植松電機に修学旅行で来てくれた先生がつぶやきました。
「今までは、巨大な自動車工場を見学していました。でも、考えてみたら、そこでは人間は働いていませんでした。それを生徒に見せて、キャリア教育だと思っていました。もっと、人間が働く姿を見せるべきでした。」

でもまあ、オートメーションの工場やロボットを作っている人もいますから、オートメーションの工場やロボットを見せることも、キャリア教育としては意味はあると思います。
でも、僕なら、ロボットを作ってる工場を見てみたいな。
作ってる人の話を聞いてみたいな。と思いました。


自分には作れない。と思い込むと、
買うしかなくなります。
お金が必要になります。
でも、自分にも作れそう、と思うと、
まず、値段や価値をしっかり考えられるようになります。
そして、作れたら、出費を減らせるばかりか、
それは、売り物になる可能性もあります。
しかも、制作過程で、よりよい物ができてしまったり、
よりよい制作過程を考えられたりします。
そして、お金で買えない喜びの存在を信じることができるようになります。

自分にはむりだ・・・してもらおう。してもらうしかない。
ではなく、
自分にもできそう。自分でやろう。できるかもしれない。
と思うだけで、人生の価値はきっと大きく変わります。


だからこそ、作ってる過程を調べたり、作り方を調べたり、
自分でやってみるって、きっと大事です。