植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

来週からの超絶凄ワザ!に植松電機でます。

超絶凄ワザ

僕も、みていないときは、「ほこたて」のNHK版だと
思っていました。
でも、全然違いました。

僕は、ほこたて、も好きでした。
でも、途中から違和感を感じました。
それは、「自社が開発した・・・」ではなく、
「自社が扱っている商品」の競争に
なっているケースが多くなったからです。
買ってきたもので戦う。
まるで、カードバトルみたいだなあ・・・
それが僕の感じた違和感でした。
番組放送中も、盛り上がったのは、
「自分たちで開発した」の勝負だったと思いますけど・・・・

で、超絶凄ワザですが、
限界に挑め!ニッポンのモノヅクリと銘打っているだけあって、
みごとに「作る」に重きが置かれています。
すばらしいと思います。
ただ、放送時間がちょっと・・・・
でも、ほこたても、こんな時間からはじまったっけ・・・

来週、再来週と、植松電機は、金沢工業大学と勝負です。
紙飛行機対決です。
1m角の断面のコース20mをゆっくり通過させるという、
現代版の通し矢のような感じです。

僕は、子どもの頃から紙飛行機は好きです。
流体力学も学びました。
でも、紙飛行機の大会などには、一切出たことがありません。
だから、自分の能力がわかりません。
でも、僕は、紙飛行機に救われたのです。

小学生の頃から、僕は片方の目が悪く、遠近感がありません。
だから、ボールをつかったスポーツはまったくだめです。
ボールがどこにあるのか、よくわからないのです。
ボールを受けることもできません。
だから、小学校のソフトボールの時も、
ひたすらに、自分が守備する場所にボールが来ませんように、と
祈り続けるだけでした。
無様な僕は、先生に笑われました。そうしたら、友達にも笑われました。
「なんでそんなこともできないの?」と言われますが、
当時の僕は、目が悪いことが原因だとは、知らなかったのです。
だから、自分が悪いんだ、としか思いませんでした。

でも、僕の作る紙飛行機は、とてつもなく飛ぶのです。
体育館のはじからはじまで、水平に飛んで行くのです。
それを見た友達が、「すごい!」と言ってくれました。
それが、僕の小さい自信になり、
そして僕は、紙飛行機の設計を学び、
それが、そのまま、流体力学と航空力学になり、
僕は、飛行機やロケットが作れるようになりました。

それから、時が過ぎて、
僕は、児童虐待の施設にボランティアに行き、
目を背けていたことに直面し、
児童虐待を無くしたいと、真剣に思うようになりました。
そして、児童虐待の原因は、
可能性をあきらめたりやめたりした人による、
自信剥奪の連鎖によるものではないかと考えたのです。
自信が無い人が、他人の自信を奪う。
それは、自分より弱い者にだけ向かいます。

だから、僕が、子ども達に自信を持ってもらうために、
最初にやったことは、紙飛行機でした。
ロケット教室じゃなかったんですよ。
ショッピングセンターのホールを借りて、
紙飛行機教室をしたんです。
参加者は、1日かけて、3人でした。
でも、それが、僕の児童虐待との戦いのスタートでした。

そこから、永田先生に出会い、ロケット作れるようになり、
そして、子ども達にもロケット作ってもらえるようになり、
いまでは、毎年1万人ほどの子達が修学旅行に来てくれるようになり、毎年6万人の子達が、僕の話しを聞いてくれています。
でも、その、「どーせ無理との戦い」のスタート地点は、
紙飛行機なんです。

だから、紙飛行機に恩返しがしたかったです。
僕に紙飛行機を与えてくれた、二宮先生に、恩返しがしたかった。

ということで、超絶凄ワザ!の紙飛行機対決の話しが来たとき、
すぐに引き受けました。
しかし、やってみたら、そりゃもう大変です。
なにせ、相手は紙です。
ほんのすこしの湿度の違いでも、どんどん変形します。
それを、ほぼ一発勝負に近い形で競うのです。
とてつもなく大変でした。

でも、僕は、この超絶凄ワザの紙飛行機対決に期待しています。
なぜなら、いまでは、紙飛行機を飛ばせる場所が無いのです。
公園でも紙飛行機禁止の場所もあります。
おまけに、紙飛行機は、天候にすごく影響を受けますから、
イベントとしても脆弱です。
でも、この競技なら、体育館や、廊下ででもできます。
20m、まっすぐ飛ばせばいいのです。
しかも、ゆっくりですから、投げ出す力もいりませんし、
安全です。
だから、僕はこの番組を見た子ども達が、挑戦してくれたら嬉しいなあ、と思っています。
いろんな町が、イベントとして取り組んでくれても嬉しいなあ、と思います。期待しています。

僕は子どもの頃、「紙飛行機作れたってねえ・・・」と
あきれられました。
そんなことしてるヒマがあったら勉強しなさい!と言われました。
でも僕は、紙飛行機をやめなかったから、
航空力学を学び、名古屋で飛行機を作る会社で働き、
そして、いま、宇宙開発ができます。

今回のロケでも、沢山の紙飛行機愛好家と出会いました。
彼らに共通しているのは、
「失敗は、より良くするためのデーターだ」です。
紙飛行機は、調整しないと飛びません。
飛ばして、失敗して、調整して、を繰り返さないと飛びません。
だからこそ、紙飛行機を愛する人は、
失敗をデーターだととらえられるのだと思います。
だからこそ、前に進んで行けるのだと思います。

来週から2周連続です。
でも僕は、画面に映る自分に自信が無いから、
あんまり見たくないです。
でも、できるだけ多くの子ども達に見てほしいと思います。
製作してくださった方々の愛が詰まっています。

http://www4.nhk.or.jp/sugowaza/x/2014-07-24/21/20006/