植松努のブログ(まんまだね)

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美しい物がきらいなひとがいて?

コンベア CV-880 1/100 ペーパークラフト
 
昔、コンベアという飛行機メーカーがありました。
第二次大戦のあとの、東西冷戦期のごく初期に大活躍しました。
一時は、世界最大最強の爆撃機を作ったり、
全天候型の戦闘機を作ったり、
突き抜けた技術を持っていた会社です。
 
その会社が旅客機も作りました。
世界最速を狙った旅客機です。
だから、あちこちに改良と工夫が満載です。
とっても美しい旅客機です。
 
でも、この時代は、ジェットエンジンが急激に変化していた時代でした。
その変化の速度と、飛行機開発の速度に、ずれがあった時代です。
そのため、この美しい旅客機は、成功しませんでした。
 
ということで、CV-880のプラモデルがないです。
でも、立体で手にしたいです。
ということで、「無ければ作れ」
ペーパークラフトにしてみました。
 
ずらっと並んでるのは、「納得いかん」途中過程です。
ペーパークラフトは、二次元を三次元にします。
だから、図面を書いても、それが立体になったときに、
どんな形になるのか、よくわかりません。
箱物なら楽なのですが、曲面となると、難しいです。
だから、まずは、作ってみます。そして、そこから、
改良の寸法を導き出します。
だから、これらの「納得いかん」機体は、「失敗」ではないのです。
「よりよくするために必要なデーター」です。
 
僕はエアガンが好きです。
でも、エアガンだって、実銃だって、
新品がいきなり照準通りに命中するなんてあり得ないです。
まずは、照準をしっかり付けて、撃ちます。
すると、狙ったところとはずれた場所に当たります。
それを何度もやると、弾の跡が、ぼんやりとまとまります。
精度の高い鉄砲は、そのまとまりがとても小さいですが、
弾にも製造上のばらつきがあるから、絶対に同一の場所には当たらないです。
その弾のあつまりの真ん中あたりが、照準器の中心になるように、
照準器を調節します。
そうすると、照準器で狙ったあたりに当たるようになります。
 
このとき、狙ったところに当たっていない弾は、「失敗」ではないです。それは、照準を調整するために必要なデーターです。
 
世の中にある、美しい物は、沢山の「納得いかん」を経て生み出されています。
その美しさには理由があります。
そして、美しい物を知ると、よい設計ができる気がします。
だから僕は、美しい物が好きです。
 
というか、美しい物がきらいな人がいて?

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