植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

「ダメ」という言葉に気をつけよう。

サンダーバードというドラマが好きです。
国際救助隊のお話です。

今見ると、大草原の小さな家と通じる匂いがします。

お父さんが、強く、正しく、的確で、まちがえない。
お父さんの理想的な姿が描かれています。
(ちょっと立派すぎて、息苦しさも感じますが)

1960年〜1970年に、
そういうお父さんが減少したから、こういう
描かれ方をしたのかなあ・・・
なんて考えてしまいます。

僕は、いろんなドラマや映画のお父さんを見てきました。
星一徹には、すごくいろいろ考えさせられました。
なにしろ、うちの父さんに通じるところが多かったですから。

また、「ダメ親父」という漫画やアニメもありました。
うちの父さんは、このアニメをものすごく嫌っていました。
「父たるもの」という理想像が崩れることを嫌ったのでしょう。
ということは、うちの父さんは、「父たるもの」という
かくあれかしな理想像を持っていて、そこに近づく
努力をしていた、ということなのかもしれません。

理想はとても大事です。
現在の自分よりも、もっと良くなりたい、良くなれる、
と思うための原動力になります。
届かないかもしれないけど、届く努力をすることで、
いろんなことが成長します。

ただ、この理想に負けてしまう人もいます。
自分の思うとおりにいかないことで、
自分はダメだ、自分なんて・・・と自分を責めてしまう
人達にとっては、理想はとても息苦しいものかも。

人間は不完全です。
だから、助け合うことができます。
(お互いに完璧なら、お互いに助けを求めないので、
助け合いという概念は生まれません。ということは、社会も形成されません。ということは、現在社会が形成されている事実からも、人間は、不完全です。)

人間は、できることを増やすことができます。
それは、技術だったり、考え方だったり。
いずれにしても、知識や経験は、生まれた時は
0からスタートするからこそ、増やすことができます。

ですから、
「不完全」という状態や、
「足りない」という状態は、
人間であれば、必ずついて来る状態です。
人間は、必ず、不完全で、足りないのです。
だからそれを、ダメだ、と思う必要は無いです。
というか、思ってはいけません。

「不完全」は、不完全という状態なのです。
不完全だからダメ。ではないのです。

足りない、は、足りないという状態なのです。
足りないからダメ。ではないのです。

では、僕らは、いつから、不完全で、足りないことを、
ダメだと思うようになるのか?

というか、「ダメ」ってなんだ?
行為を禁止する言葉でもあります。
失敗を意味する言葉でもあります。
でも、これらは、もしかしたら本来の意味ではないかも。

うまくいかないことで、「自分はダメだ」「自分なんて・・・」と考える時には、「ダメ」は、禁止や、失敗、の意味では使われないような気がします。
むしろ、自分自身の存在意義や自己肯定感に関わる使い方をされるように思います。

「駄目」という字面からは、
使い物にならない。無価値。不適合の意味が感じられます。
自分を責めてしまう人は、こちらの意味で「ダメ」を
使ってしまってるように思います。


自分のことを振り返って考えてみたら、
お前は英語がダメだなあ。
お前は数学がダメだなあ。
よく言われました。
いやでした。

テストとは、自分の実力を知るためのものであって、
ダメを思い知らされるためのものではありません。

教師とは、不完全で足りない子どもに、
より良くを求めることの喜びを知らせる存在であるべきです。
「ダメ」は、努力や可能性をも否定します。
間違っても、子どもを「お前はダメだ」と
ジャッジする存在であってはいけません。

というか、子どもと関わる大人は、「ダメ」という言葉を
使ってはならないのかもしれません。
子どもに向かって「お前はダメだ」なんて、
「お前は無価値です。必要ありません。」と
言ってるようなものです。

「◯◯だから、ダメだ。」という考え方を
身につけてしまった人は、
そういう思考をし続けます。
普通や常識と違うものを、「ダメ」だと思えるようになってしまいます。
それこそが、差別のもとにもなるのかも。
いじめのもとにもなるかも。
そして、そういう人は、自分が差別されたりいじめられたりしないために、自分の考えを「普通」や「常識」で守ります。

人の命は大切です。
ということは、人を有効活用するべきです。
ということは、人を「使い物にならない」「不適合」と
ジャッジしてはならないです。
どんな人も適材適所です。
それを指導するのが進路指導のはずです。

理想は大事です。
理想があると、人は成長できます。
そのためにも、「ダメ」という言葉を、
もう少し慎重に使うべきかもしれません。

すくなくとも人間に対しては「ダメ」という簡単な言葉をで切り捨てない方がいいのだと思います。
「だからお前はダメなんだ」ではなく、
もっと具体的に問題を示し、改善案を示すべきです。
そうすれば、理想は輝きを取り戻すかもしれません。

でも、すべての父親が、サンダーバード大草原の小さな家のお父さんみたいになっても、ちょっと説教臭い感じでいやかも。