植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

この週末は芦別市の100年記念館でプラモデル展示会。(僕は関わってないけど)

今日から、僕の古里の芦別市の100年記念館で、
プラモデルの展示会が行われるそうです。
 
プラモデルは、3次元のキャンバスです。
キャンバスそのものを作ってしまう芸術かも。
制作と塗装によって、とってもすてきな自己表現ができます。
 
また、僕は、プラモデルは技術資料だと思っています。
人間が作ったものには、意味があります。
それをかなり精密に再現してくれています。
たとえば、自分が重さ3トンくらいの飛行機を設計しようと思ったとき、足の太さはどうやって決めたらいいでしょう。
僕なら、同じくらいの重さの飛行機の中でも、艦上で使用される飛行機の足を参考にするでしょう。
プラモデルの足の太さをノギスで測れば、おおよそのサイズがわかります。
そこをスタート地点にして、設計を進めます。
 
「プラモデルは簡単すぎてくだらない。」
「プラモデルは子どもの遊び」
 
なんてことを言う大人もいますが、
それは、ゴム動力グライダーのプロペラを、角材から削り出していた時代の人たちが言う台詞です。
プラモデルを作ったことがない人は、こんなことを言う権利はないです。
そして、プラモデルは、組み立てるだけのものではありません。
そのあとに、色を塗ったりすると、さらによい自己表現になります。
 
残念ながら、日本では、趣味を否定する人が少なくないです。
「よーやるわ」
「そんなことする余裕あっていいね」
「そんなことして意味あるの?」
 
そして、そういう人に限って、
「趣味じゃ食えない」
ともいいます。
 
そういう人にとって、趣味は
「お金を払って、してもらうこと。させてもらうこと。」
なのかもしれません。
確かにそれは、お金がないとできませんし、自信の知恵と経験の蓄積にもなりにくいです。
 
でも、「する」趣味は、力になります。能力になります。
 
僕は、仕事に疲れたときに、趣味に逃げ込むことがあります。
でも、僕の趣味は、「する」趣味です。
だから、逃げ込んでいても、やればやるほど、能力が向上します。それは、あとからかならず役に立ちます。
 
僕は、飛行機や自動車などをデザインする仕事をしたいと思っている大学生の中に、その分野のプラモデルを作ったことがない人がいることに驚きを感じます。
人類が作った美しいものを知らずして、美しいものは作れないと、僕は思っています。
また僕は、自然物に勝る美はないと思っています。
だから、デザインをする人は、自然物についても、興味と関心をもつべきだと思っています。
 
デザインは、自分の思いを形にする行為だとおもいます。
そのためには、「思い」も大切ですし、
「森羅万象の知識」も必要だし、
「過去の人間の努力」も必要だし、
「美」も必要だと思います。
 
まだコンピューターなどがない時代に、ある自動車デザイナーが「美しい部品は強い」と言いました。そして実際に、彼が設計した部品を強度解析すると、本当に最適設計に近かったと言われています。
人間は、「調和」や「最適化」を「美しい」と感じる能力があるのかもしれません。
 
そして、その「美」を感じる力は、「美」に接することで磨かれるような気がします。
だから、この「プラモデル展示会」も、
「うわー。こまけー。よーやるわー。」という視点ではなく、
自分の中の「美」を感じるセンサーをフル稼働して見てみたら、きっと、いい勉強になると思います。
 
このPOOH熊谷さんは、高校の先輩です。
見た目は怖いけど、とても優しい人です。
彼の実際の技を目の前で見られるかもしれません。
すっごく見たいけど、いけない。残念。
 
芦別の100年記念館は、いろんな展示もあって、とてもおもしろいですよ。
ぜひ、足を運んでみてください。