植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

無理強いするのではなく、「助けたい」と思われる存在になろう。

以前、講演会の依頼がありました。
スケジュール的にもかなり苦しく、おまけに、仲良しが集まるとってもイベントな形式だったので、行きたくなかったです。
だけど、断っても、断っても、頼み込まれます。
そして、最後の切り札を使われます。
それは、子どもです。
僕は、その子のためならしょうがない、と引き受けます。
 
そして、講演会後の、懇親会の場で、
主催の人が挨拶をしました。
「この講演会、最初は断られました。でも、僕はあきらめませんでした。断られても、断られても、あきらめませんでした。そうしたら、実現したんです。思うは招くです!」と叫びました。
みんな、おもっきり盛り上がってました。
僕は、思いっきり、落ち込んでいました。
「思うは招く」をこういう形で使われたら大変だ・・・と思いました。
 
僕は、「どーせ無理」に負けない人を増やしたいと思って、
最初は、講師を招いての講演会を開きました。
集まってくれた人は、200人から300人くらいだった気がします。
それには、すごい手間も費用もかかりました。
何度も出来ることではありません。
でも、伝えたいのです。
僕は、講師を値切って、会場を値切って、コストを削減してやろうとは思いませんでした。
だから、自分でやるようになりました。
会場も自分の会社に作りました。
その結果、今では、1万人以上が来てくれるようになりました。
 
僕は、モデルロケットの教室をしたいと思いました。
最初は、アメリカからキットを輸入しました。
でも、すごいお金がかかるし、納期も不安定です。
でも僕は、モデルロケットを値切ろうと思いませんでした。
だから、自分で作ることにしました。
その結果、小学生向けから、かなりの大型まで、かなりのラインナップも増えました。
 
「してもらおう」は、とても危険です。
「お金を払って、してもらおう」
「お金を値切って、してもらおう」
「お金を払わないで、してもらおう」
それは、やがて、「やれ」「しろ」になっていく可能性をもっています。
表現が軟らかく、腰が低いだけの「強制」になることがあります。
おまけに、なんぼやっても、自分の能力は増えません。
 
ちなみに、僕は、買い物で値切らないです。
なぜなら、それは、相手が付けた価値に対して、その価値がありませんよ、と言う行為だと思うからです。
 
 
むちゃくちゃにお願いし倒すのは、「奪う」に近いです。
誰かに頼み事をするからには、自分もその人を助ける努力が不可欠です。一方的にしてもらうだけでは、「奪う」になりかねません。
相手から「助けたい」と思われるような人間関係を作るべきです。
 
先日の滋賀のKMPさんの講演会。
いろんなおもてなしがたくさんでした。
それは、お金をかけたものではなく、マンパワーをかけたものでした。それができるのは、みんながお互いを「助けたい」と思っているからだと思います。
その素晴らしい人間のつながりを見たときに、
僕は、「この人達に、ロケットを飛ばして欲しい」と思いました。
きっと、この人達は、それをもっと多くの子達に伝えてくれる、と確信しました。
だから、その場で、「また来るぞ」と思いました。
思ってしまいました。
 
そういうもんです。
 
 
「思うは招く」を、無理強いを正当化するために使わないで欲しいです。