植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

TEDxを引き受けた時のお話し。

TEDxの話しが来た時には、ちょっと戸惑いました。
なにせ、時間が18分です。
いつも90分でしゃべっていることを、
18分にしなければいけません。
それでは十分なことが伝えられないから、
あきらめようかと思ったり、
時間を長くできるように交渉しようかとも思いました。

しかし、この18分という長さの意味を考えました。
TEDといえば、youtubeでの世界配信が重要です。
世界の様々なネット環境などを考えたら、
18分は、むしろ長いのかもしれない、と思いました。

ということで、
その18分で、何を伝えようか、とても悩みました。
テクノロジーやエンターティメントを発信する、という意味合いでは、僕は宇宙開発の話しをすべきなのかと思いました。
でも、植松電機のマグネットシステムも、運用時にはゼロエミッションだし、その生存性の高さなどもユニークです。大量生産に依存しない、新しいビジネススタイルだとも思っています。
また、僕がこっそりすすめている、住むためのコスト1/10、食べるためのコスト1/2、学ぶためのコスト0のARCプロジェクトも、本当は、もっとお金と人手をかけたら前に進むかもしれません。でも、その性質上、密やかに進める必要もあります。

伝えたいこと、知ってほしいことは沢山あります。
すごく悩みました。
でも、「どれにしようかな」でぐるぐる迷う頭を止めて、
原点に立ち返り、僕が生涯かけてやりたい夢は何だろう、と考えました。
そうしたら、答えは一つでした。

僕は、児童虐待をなくしたいのです。
人の可能性を奪う人や、人の自信を奪う人がいない社会を作りたいのです。
でも、そのためには、
児童虐待をする人や、人の可能性を奪う人、人の自信を奪う人を、
皆殺しにすれば良い、というものではありません。
児童虐待をする人や、人の可能性を奪う人、人の自信を奪う人が、
なぜそうなるのかを考えました。
そして、僕は、
自信を奪われた人が、他者の自信を奪う。
可能性を奪われた人が、他者の可能性を奪う。
そしてそれは、必ず、自分より弱いものに向かうので、
その結果、最も弱い、子ども達が犠牲になる。
という連鎖に考え至ったのです。

だから、児童虐待をなくしたり、人の可能性を奪う人や、人の自信を奪う人がいない社会を作るために、最も大事なことは、
自分の自信を守れる人を増やすことなのだと思うのです。

宇宙は美しいから、だれもが小さい時には一度は憧れます。
月に行ってみたい、宇宙に行ってみたいと、思います。
でも、やがてだれもが「自分には無理だ」と思い込まされます。
その理由は「すごくお金がかかる」「すごく頭が良くないと無理」です。
でも、そのできない理由をおしえてくれるのは、やったことがない人です。
だからこそ、「そんなことないよ。宇宙開発なんて、だれでもできるようになったんだよ。」と示すために、僕は宇宙開発をします。
だから、僕にとっては、宇宙開発は、手段です。
やったこともない人の「どーせ無理」に負けない人を増やすための手段です。

僕のマグネットや、ARCプロジェクトも、戦後に急激にふくれあがった戦災特需を維持するままの大量生産大量消費経済が、日本人の生活を苦しくしている、と考えたからこそ、それに対向する手段です。

僕の夢は、宇宙開発ではありません。
僕は、児童虐待をなくしたいのです。
人の可能性を奪う人や、人の自信を奪う人がいない社会を作りたいのです。
そのために、できることをします。
でも、僕にできることは、わずかです。
だから、仲間が必要です。
だから、TEDxに出させてもらえて嬉しかったです。

でも、僕は、学芸会が嫌だったのです。
人の前でしゃべるなんて、ほんと嫌です。
だから、結果として、せっかくのTEDxなのに、
作業服のさえないおっさんが、ステージのまんなかで、
みぶりもなく、てぶりもなく、ただ突っ立っただけで、
ぼそぼそしゃべるだけになりました。
でも、それが僕です。僕にできることです。僕にしかできないことです。

仲間が増えたらいいなあ、と思っています。
TEDxSapporoの方々が、ボランティアで作ってくれた、
この美しい映像が、より多くの人の目に触れたらいいなあと
心から願っています。



https://www.youtube.com/watch?v=gBumdOWWMhY&list=PLaNzZv_d5-BC12OaFl7Cob2cck2cwqE_k&index=5