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植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

出る杭が打たれないために

今日、鹿児島の内之浦から
SS-520というロケットが打ち上がる予定です。
 
テレビなどでは「電柱ロケット」なんて言われていますが、
このロケットは、ネットで調べたらスグにわかることですが、1980年から数多く打ち上げられている小型観測用ロケットです。
 
今回打ち上がるのは、この観測ロケットに、軌道投入機能を付加したものです。
 
僕は、自分たちのロケットを作る際に、世界の最新のロケット技術を参考にしようと思いませんでした。
僕が調べたのは、世界のロケットの発達の歴史です。
高度な技術や、高価な材料が無い時代に、宇宙に到達した人達の方法こそが、僕らにとっての学びだと思ったからです。
その中で、S-520についても沢山調べました。
かなり実績のあるロケットですから、今回の打ち上げも、順調にいくのではないかと思っています。
 
以下は、僕の勝手な憶測に過ぎませんが、
僕は、日本がこのロケットを打ち上げるのは、
最近の「安価な民間宇宙開発」に対するものだろうな、と思っています。
お金と時間をかけて作った人工衛星を打ち上げるなら、
成功実績が多い方が強いです。
(万が一の失敗時の保健も、失敗の可能性が万が一だから成り立ちます。成功率が低いと、そもそも保健に入ることすら困難でしょうし、そのコストもべらぼうになり、結果的に打ち上げコストが高くなります。)
 
以前、僕らがかかわるロケットで、勝手にビジネスをされたことがあります。僕はそれを知らないまま、打ち上げになりました。
残念ながら、そのロケットは失敗しました。
そのとき、僕ははじめて、そのロケットが有料で搭載物の打ち上げの契約をしていたことを知りました。
僕は、製造業を経営しています。
その僕の目からみて、その頃の僕らのロケットは、お金をもらって仕事を引き受けるレベルではありませんでした。
研究開発中のもので、商売するなんて、あり得ないです。
ちなみに、商業的に大丈夫なロケットは、研究者的には、まったくつまらないロケットになります。そこには、成長も進歩も無いです。
ということで、僕は、僕らのロケットの商業的利用については、
基本的に興味を持っていません。僕は、研究開発(よりよくの追求)をしたいです。
 
ちなみに、僕らはマグネットを作っています。
これは、最初から完成品ではありませんでした。
完成品だと思っていても、完成していなかったのです。
だからこそ、故障時には全責任を負うことになります。
でも、そんな僕らのマグネットを支えて育ててくれたのは、
日本中のユーザーさんでした。
故障したとき、一緒の故障を直し、もっとよくするために力を貸してくれる方々がたくさんいました。
その方々のおかげで、僕らのマグネットは成長できました。
おそらく、宇宙開発も同じでしょう。
請負ではなく、リスクを相互に分担できる共同開発が良いと思います。
 
 
 
出る杭は打たれる。という言葉があります。
打つ方が悪いでしょうか?
僕は、ビジネスの世界に関しては、そう思わないです。
打つ方にも理由があるからです。
 
たとえば、自分が苦労して育ててきたビジネスに、後から来た人が無理な低コストで参入をしてきたら、どうします?
最近、塗装業界やリフォーム業界でもよく聞く話ですが、
お店さえ持たない人達が、耐久性の低い安価な塗料などで安価に仕事をしてしまい、アフターサービスも、保障もなにもしない、という無責任なビジネスが増えているそうです。
もしも、そうなる可能性があったら、
自分が育ててきたお客さんを守ろうとするでしょう?
 
大事なのは、「打たれない努力」です。
 
先の記事にも書きましたが、「必要」とされれば、打たれないです。
または、「競合」しなければ、打たれないです。
そして、「必要」とされるにも、「競合しない」ためにも重要なのは、「ほかと違う」です。
 
これは、マグネットの仕事でさんざん経験してきました。
 
 
最近、起業したい、という人が増えています。
僕はそれを歓迎します。
でも、その結果、「出る杭は打たれる」を経験してる人も増えています。
それは、「ほかの人がやってること」で「安価」に参入するからです。
ちなみに、無理した「安価」競争は、持続不可能だし、資本力がある相手には勝てません。
 
大事なのは、「ほかの人ができないこと」を、採算が合うようにやることです。
 
僕の知人で、プロのプラモデラーがいますが、
市販のプラモデルを作るだけなら、誰でも出来ます。
手間をかけて、細かく仕上げることも、経験を積めばできます。
でも、市販のプラモデルを、改造して手間をかけて、でも短時間に美しく仕上げるためには、修練が必要です。
そして、多くの人達との関わりが、ネットワークを強くし、製品の価値を高めます。
自分の技量向上と、人脈にかけてる時間やコスト、そして、自分の製品の価値を高める努力が、彼の競争力になっているのだと思います。
ただプラモデルを上手に作れるだけでは、この価値は得られないです。
 
僕は、相手と同じ土俵に乗らないことを、とても大事にしています。
自分の土俵のレベルをあげることも大事なことです。
 
そうすれば、出ても打たれないです。