植松努のブログ(まんまだね)

基本的に、facebookの僕の記事を転載します。

苦行を与えるよりも、論理的な思考を育てる方がいいと思う。

僕の筋肉の絶対量はたいして多くはないと思います。運動能力も低いです。
でも、僕は、力仕事は、けっこう得意です。
なぜなら、小さい頃から、力仕事をさせられてきたからです。
それは、つらい経験でした。でも、その過程で、力が無い僕は、体の上手な使い方を考えたのだと思います。
相手の重さと、重心と、モーメントを考えます。そして、自分の重さと、速度や力の方向を考えます。そして、相手の重さと自分の重さを、くっつけたり、離したりして、相手を動かします。
小さい頃からの力仕事をさせられた経験で、僕に身に付いたのは、根性や筋力ではなく、論理的に考える力だった気がします。
なにせ、父さん1人の会社ですから、力仕事も、まかされっぱなしです。1人です。だからこそ、ああだこうだ言われないですみました。自分で考えて試せたのがよかったのだと思います。
 
若い人の中には、いい体格をしていて、運動能力も高いのに、重たいものを動かすのがとても下手な人達がいます。見ていてすぐにわかりますが、俗に言う、「腰が入っていない」状態です。それは、実際には、自分の重心と質量を、相手を動かすために有効に使えていない、という状態です。これは、筋力や根性が足りないのではなく、体の使い方を知らないだけです。
与えられた体の使い方しか知らないから、ちがう体の使い方ができないのです。
 
残念ながら、
つらいことや、苦しいことに、耐えることが強さだと思い込んでる人がたくさんいます。
だから、子ども達に、過度に苦しい思いをさせる教育者もいます。
「理由なんて考えなくていい!黙って指示されたとおりにやればいいんだ!」
でも、こういうことをすると、つらいことに耐える力は身に付きません。自分の感情や心を押し殺してがまんするだけです。それでは限界は低いです。また、命令されないと、指示されないと、何もできない人になるだけです。
 
僕は、人の限界を高め、能力を発揮させるために大事なのは、つらい経験や苦しい経験ではなく、論理的に考える能力のような気がします。
だから、物理が嫌い、という人が多いのが残念です。
物理は、もののことわりです。とても大事な学問だと思います。